社内研修とは?社外研修との違いや具体的なテーマ・設計の方法を解説

社内研修は、自社の従業員を講師にして行う研修を指します。

社内研修は自社の状況に合わせて研修内容を自由に設計できる点や社外研修と比較してコストを抑えられるのが特徴です。また、社内コミュニケーションの一環としても役立ちます。

社員研修では実施前の設計が特に重要です。自社の課題を特定したうえで、「誰に講師を依頼するのか」「どんな内容にするのか」「適切な手法は何か」などを固めていきます。

この記事では、社内研修を行う目的やメリット・デメリットを解説します。そのうえで、具体例を交えた社内研修の設計方法もまとめています。

最後まで読めば、社内研修の理解度が深まり、自社で実施すべきか明確に判断できるでしょう。


社内研修とは自社の従業員が講師として行う研修

社内研修とは、自社の従業員が講師となって行う研修のことです。

社内研修はスキル・ノウハウの教育や、自社の方針・文化の共有を通し、従業員の生産性をアップすることを目的として実施されます。

例えば、新入社員のオリエンテーションや業績が上がったスキル・ノウハウの提供、特定のプロジェクト・製品に関する研修など、企業の状況に合わせてさまざまなタイプの社内研修が行われています。

社内研修は社内のリソースだけで完結するので、研修内容を自由に設計して行えるのが特徴です。

参考:人材育成に効果的な「社内研修」のテーマや内容とは? 進め方や事例、メリットを紹介 | 人事のプロを支援するHRプロ
   社内研修とは?目的・作り方と社外研修との使い分け【人事初心者向け】│TechAcademy


社内研修を実施する目的

社内研修を実施する目的としては、主に以下の3つが挙げられます。

  • 自社の事業内容やMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透
  • 部署内・部署間の交流
  • 現場で使えるスキルの共有

それぞれ詳しく見ていきましょう。

自社の事業内容やMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透

自社の事業内容やMMVを浸透させることで、なぜ自社のビジネスを展開しているか理解を促し、離職率の低下や業務に対する意欲向上を狙うことが可能です。主に新入社員向けに実施されることが多く、社内研修が適切な手法として用いられています。

部署内・部署間の交流

普段の業務では直接的に交流のない従業員同士で社内研修を実施すれば、コミュニケーションを促し関係性を良くするきっかけを作れます。従業員の仲が良いとチームワークも生まれ、組織全体に一体感を生み出せるでしょう。

現場で使えるスキルの共有

専門知識を持ってる従業員のスキル・ノウハウを共有し、従業員の生産性を上げることも狙えます。スキル・ノウハウ提供の社内研修は、従業員の階層や習熟度に応じて行うことが望ましいです。


社内研修と社外研修との違い

社内研修は従業員を講師として実施する研修に対して、社外研修は外部の講師を招いて行う研修を意味します。

事前に研修内容が用意されているので、費用を支払うだけで質の高い研修を受けられることが期待できます。また、外部の講師が研修を実施するので、社内では学べないスキル・情報を仕入れることも可能です。

以上を踏まえると、研修を実施する目的に応じて、社内研修か社外研修どちらを選ぶかしっかり検討する必要があります。

自社のビジネスに対する考え方や従業員のスキル・ノウハウなど、社内のリソースを使って研修を実施したい場合は社内研修が適しています。

一方、社内にはない情報を仕入れて従業員に提供することが難しい場合は社外研修を選ぶと良いでしょう。

以下に社内研修と社外研修の違いを表にまとめました。

項目社内研修社外研修
主催者(講師)・場所企業自体が主催し、自社の施設やオフィス内で行われることが多い第三者の機関や団体が主催し、外部の会場や施設で行われる
内容社内の方針や文化、業務手順など、特定の企業に特化した内容が中心一般的なビジネススキルや専門知識、業界のトレンドなど、広範囲な内容が中心
参加者主に自社の従業員のみ他社の従業員も含む多様な参加者
費用特になし講師依頼料(もしくは受講料)、会場費、移動・宿泊費

社内研修のメリット

社内研修を実施するメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 自社に合わせた研修プログラムが組める
  • 従業員との交流の機会になる
  • コストをかけずに研修を実施できる

参考:社内研修はなぜ、なにをする?効果的なコンテンツを設計するには?|法務・労務の企業研修・eラーニング – 講師派遣・オンライン研修|LEC東京リーガルマインド
   人材育成に効果的な「社内研修」のテーマや内容とは? 進め方や事例、メリットを紹介 | 人事のプロを支援するHRプロ

1. 自社に合わせた研修プログラムが組める

社内研修を実施するメリット1つ目は、自社に合わせた研修プログラムが組めることです。

社内研修は自社のリソースを使って行うので、解決したい課題に応じて、自由に研修内容を設計できます。担当講師も自社の従業員から自由に選べるので、外部の講師を依頼する必要もありません。

例えば、新入社員の意欲アップを目的とした経営層によるMVVや業界トレンドの社内研修や、部署ごとの評価の高い従業員によるスキルの伝授の社内研修などが挙げられます。

2. 従業員との交流の機会になる

社内研修を実施するメリット2つ目は、従業員との交流の機会になることです。

組織でビジネスを進める以上、従業員どうしの関係性は生産性を高める重要な要素です。しかし、普段の業務が忙しくて、他の部署の従業員とのコミュニケーションが十分に取れない場合もあるでしょう。

社内研修を実施すれば、例えば「マーケティング部門と技術部門の合同ワークショップ」のような研修をきっかけに他の従業員とコミュニケーションを取る機会が作れます。普段は関わりがない従業員との対話を通して、普段の業務では得られない新しい気づきを提供することが可能です。

さらに、研修が成功すれば社内の一体感が生まれてチームワークが高まり、組織全体の生産性の向上が期待できるしょう。

3. コストをかけずに研修を実施できる

社内研修を実施するメリット3つ目は、コストをかけずに研修を実施できることです。

社内研修なら、自社の従業員で研修内容を作っていくため、基本的に人件費以外の特別な費用は不要です。

外部の講師に依頼して研修を実施する場合、講師の依頼料や教材費などさまざまな費用が発生します。研修内容によっては、外部の施設を利用する必要があり、別途交通費や宿泊費もかかるかもしれません。

社外研修の費用相場は、法人への依頼・個人への依頼、研修内容によって変動しますが、法人に依頼する場合は10~30万ほどが一般的な相場観です。これに別途会場費や設備費などがかかります。

参考:社員研修の平均費用と料金相場|早見表つき【2023年最新版】


社内研修のデメリット

社内研修には多くのメリットがありますが、一方で以下のようなデメリットも存在します。

  • 得られる情報・ノウハウは社内のものに限られる
  • 研修の質にムラが出る
  • 従業員の負担が増える

事前に把握しておけば、社内研修を実施すべきか明確に判断できるでしょう。では、各デメリットを1つずつ解説します。

1. 得られる情報・ノウハウは社内のものに限られる

社内研修のデメリット1つ目は、得られる情報・ノウハウは社内のものに限られることです。

社内研修は自社の従業員で実施するので、提供できる情報・ノウハウは限定的になります。もし社内研修の目的に対して必要な情報・ノウハウが社内にない場合、社内研修の実施は難しくなります。

そのため、社内研修は外部の情報・ノウハウを提供することはできません。研修を受けさせたい部署や階層、解決したい課題に応じて、社内研修で実現可能か検討しましょう。

また、コンプライアンスやスキル・ノウハウ共有を目的とした社内研修を実施する場合は、都度情報を更新するか外部に委託するのが望ましいでしょう。もし社内研修で実施する場合は、定期的に社外から情報を仕入れて内容をアップデートしてください。

2. 研修の質にムラが出る

社内研修のデメリット2つ目は、研修の質にムラが出ることです。

社内研修の担当講師は従業員なので、教えることが不得意な従業員が担当すると、社内研修の質が落ちる可能性があります。内容自体は十分なのに、担当講師の教え方が原因で社内研修の目的が達成できない・受講者の満足度が下がるなどの影響が現れる可能性があります。

そのため、社内研修を実施する際は講師の選定と入念な事前準備が必要です

3. 従業員の負担が増える

社内研修のデメリット3つ目は、 従業員の負担が増えることです。

社内研修は自社の従業員のみで実施するので、普段の業務と並行して研修の準備をしないといけません。そのため、社内研修に関わる従業員の負担が大きくなってしまいます。

特に多忙な従業員に社内研修の設計や講師を依頼する場合、研修内容や進め方の共有など、研修の準備自体が困難になる可能性があります。

日常業務との調整や専門の研修チームの構築を行い、1人あたりの負担を減らして準備するようにしましょう。


社内研修を実施する3つの手法

社内研修を実施する手法は、OJT・OFF-JT・eラーニングの3パターンに分かれます。それぞれ研修目的によって使い分けられると良いでしょう。

  • OJT研修:実務を通してスキル・ノウハウを学ばせたい
  • OFF-JT研修:社内情報の共有やコミュニケーションの機会を作りたい
  • eラーニング:一般的なスキル・知識を学ばせたい、効率的に研修を行いたい

参考:「社内研修の内容どうしたらいい?」効果的な研修を行うポイントを解説 | オンライン研修・人材育成 – Schoo(スクー)法人・企業向けサービス
   社内研修はなぜ、なにをする?効果的なコンテンツを設計するには?|法務・労務の企業研修・eラーニング – 講師派遣・オンライン研修|LEC東京リーガルマインド
   社内研修の内容はどうする?種類や面白いネタ、効果的な設計方法までご紹介

OJT研修

社内研修の手法1つ目は、実務を通して必要なスキルや知識を学んでもらうOJT研修です。

OJTとは、「On the Job Training」の頭文字を取った略称で、実務を通じて指導することを指します。つまりOJT研修とは、実務を進めながら新しい知識・ノウハウを身につけさせる研修という意味です。

社内研修のために時間を設ける必要がなく、普段の業務に支障が少なく済みます。受講生も実際の業務を通じて研修内容を学ぶので、習得度を上げられるのもメリットです。

ただし、講師が受講生に付きっきりで教える必要があるので、講師の負担が比較的大きくなります。受講生の数によっては、講師を複数人依頼する必要もあるでしょう。

参考:OJT教育のやり方と成果をあげるための8つのコツを紹介│LISKUL

OFF-JT研修

社内研修の手法2つ目は、実務を離れて受講する講義やグループワークを実施するOFF-JT研修です。

OFF-JT研修はOJT研修とは反対の意味で、実務を行わずに研修を実施します。具体的には、授業・講演・ディスカッションなどで受講生を研修します。

OFF-JT研修は、やり方によっては大人数を一斉に研修できるのがメリットです。また、実務から離れて今までの業務を振り返る機会にできたり、他の従業員との交流の場として活用できたりします。

ただし、大人数に対して研修することが一般的なので、スケジュールの調整が比較的難しい場合があります。また、日常の業務を中断して研修を実施するので、通常業務を内職しているなど、研修の受講意欲や集中力が低下する可能性も否定できません。受講生に社内研修を受ける意義をしっかり伝え、受講の意欲を高める工夫が必要です。

eラーニング

社内研修の手法3つ目は、インターネットを活用したeラーニングです。

eラーニングでは、インターネット上でさまざま学習コンテンツが学べます。社内研修は従業員が実施する研修なので、eラーニングは厳密に社内研修に当てはまりませんが、講師に依頼せず研修を受けさせられることから、近年人気を集めています。

また、受講生は好きなタイミングで受講できるので、日常業務とのバランスを考えながら研修を進められます。進捗状況も一括管理でき、効率的に研修を実施できるのも魅力です。

ただし、基本的には従業員自ら進める必要があるので、従業員の主体性が求められます。受講後のテストで習得度は確認できるものの、業務に生かせているかは別途確認しないといけません。

参考:【2022年最新版】eラーニングシステム70選を比較!選定ポイントも紹介│LISKUL


社内研修のテーマ例

社内研修を実施するにしても、どの従業員に行うかで研修の内容は異なります。今回は、階層・職種別で社内研修のテーマの一例を紹介します。

参考:「社内研修の内容どうしたらいい?」効果的な研修を行うポイントを解説 | オンライン研修・人材育成 – Schoo(スクー)法人・企業向けサービス
   業種別!使える社内研修・ワークショップ

階層別での社内研修のテーマ例

階層別で社内研修を実施する場合、以下のようなテーマが挙げられます。

  • 新入社員:MVVの共有、コミュニケーション方法、ビジネスマナー、ITスキルなど
  • 中堅社員:ロジカルシンキング、タイムマネジメントなど
  • 管理職:マネジメントスキル、チームビルディングなど

新入社員に対しては、自社の事業内容や理念の理解の促進や、社会人としての必須スキルを修得する社内研修が行われます。

基本的な知識・スキルを提供し、将来自社で活躍できる人材を育成することが目的です。場合によっては、実務を覚えてもらうためにOJT方式で社内研修を実施する企業もあります。

中堅社員には、生産性を上げるためのスキル・ノウハウを学ぶ社内研修が行われます。学ばせたい内容に応じて研修方法は変わりますが、基本的にはOFF-JT方式を活用することが多いでしょう。

管理職は従業員をまとめる立場なので、リーダーシップを発揮できるような社内研修が実施されます。目的に応じて、研修方式を柔軟に変えて行う必要があります。

職種別の社内研修のテーマ例

職種別の社内研修の具体例を、営業・マーケティング・開発の3つに分けてまとめてみました。

  • 営業:成績上位の従業員によるスキル・ノウハウの伝授
  • マーケティング:効果が高かったマーケティング施策の共有
  • 開発:最新ITトレンドの事例研修、プロジェクトマネジメント研修

職種別の社内研修は、業務に必要なスキル・ノウハウを提供することが多くあります。場合によっては、従業員同士でコミュニケーションを取る時間を作って、チームワークを高める社内研修を行う企業もあります。

職種によって、実施すべき社内研修は異なります。社内研修を実施したい職種に対して、生産性を上げられる研修内容を考えて実施するといいでしょう。


社内研修の設計方法

具体的な設計方法を理解しないと、社内研修を実施することは難しいでしょう。これから社内研修を始めたい方は、以下の手順で社内研修を実施してみてください。

  1. 解決したい課題に対して受講させたい従業員を決める
  2. 社内研修のゴールを設定する
  3. 担当講師を選ぶ
  4. 研修内容を決める
  5. 研修内容に対して適切な研修手法を選ぶ
  6. 研修の流れを調整する
  7. 社内研修の台本を作成する
  8. 効果測定を実施する

参考:「社内研修の内容どうしたらいい?」効果的な研修を行うポイントを解説 | オンライン研修・人材育成 – Schoo(スクー)法人・企業向けサービス
   社内研修の5つのポイント~効果的な設計方法やコスト削減法など│社員研修,教育 職員研修 人材育成ならインソース
   社内研修はなぜ、なにをする?効果的なコンテンツを設計するには?|法務・労務の企業研修・eラーニング – 講師派遣・オンライン研修|LEC東京リーガルマインド

1.解決したい課題に対して受講させたい従業員を決める

社内研修を設計する1番目の手順は、解決したい課題に対して受講させたい従業員を決めることです。

解決したい課題を明確に言語化すれば、課題に対して受講させたい従業員も自然と決まります。社内研修を実施すること自体を目的とせず、解決したい課題と受講者を明確にしてください。

例えば、離職率を下げたいなら新入社員や中途社員、従業員のチームワークを高めたいなら管理職など、自社の課題の原因が潜んでいる層に向けて研修を実施しましょう。

社内研修を受けさせたい従業員をなんとなく決めるのではなく、解決したい課題を明確にしたうえで受講者を選びましょう。

2.社内研修のゴールを設定する

社内研修を設計する2番目の手順は、社内研修のゴールを設定することです。

解決したい課題と受講者を決めたら、受講者がどのような状態になって欲しいか、具体的な社内研修のゴールを決めましょう。ゴールが曖昧だと、この後のプロセスも曖昧になり、研修の効果が薄れてしまうかもしれません。

社内研修のゴールを設定する際、明確な目標を決めるフレームワーク「SMART」を活用するのがおすすめです。

  • Specific(具体的であること)
  • Measurable(測定できること)
  • Achievable(達成可能であること)
  • Related(上位目標と関連していること)
  • Time-bound(期限が決められていること)

例えば、従業員の離職率を下げたい場合、以下のように当てはめられるでしょう。

Specific:離職率を5%から3%に下げる
Measurable:社内研修実施後の離職数を記録する
Achievable:自社の業界平均離職率は2%
Related:採用費が削減でき、重要事項に予算を回せる
Time-bound:社内研修実施した1年間

SMARTに当てはめて目標を設定すれば、本当に目標を達成できる社内研修を作れているかチェックする指針にも利用可能です。

3.担当講師を選ぶ

社内研修を設計する3番目の手順は、担当講師の選択です。

単純に上層部や人事部から選ばず、社内研修に最適な講師を選ぶことで、研修内容の質が上がって目標を達成できる可能性が上げられます。

例えば離職率を下げたい場合、会社に対する理解が深く、受講者に寄り添って共感できる講師がいいかもしれません。また、管理職のマネジメント力を育成したいなら、マネジメント職の経験が長くて実績を出している従業員がいいでしょう。

講師を選ぶ際に気をつけたいことは、教え方が比較的上手な従業員を選ぶことです。知識・経験が豊富だとしても、教え方が上手でないと受講生の理解度が深められず、社内研修の質が落ちてしまうからです。

ゴール達成に適した従業員を選べば、その従業員を選んだ理由も明確になり、依頼を快く引き受けてくれるでしょう。

4.研修内容を決める

社内研修を設計する4番目の手順として、研修方法の決定が挙げられます。

社内研修のゴールと講師が決まったら、どのような研修を行うか内容を詰めていきます。社内研修の設計に関わる従業員と担当講師でブレインストーミングを実施すると良いでしょう。

ブレインストーミングで社内研修のアイデアを出せば、自分では思いつかないような研修方法が見つかるかもしれません。従業員が楽しく研修を受けられる内容が作れれば、ゴール達成により一歩近づけられるでしょう。

具体的には、単純に社内研修でやってみたいアイデアを自由に出して、似ているアイデアをグループ分けします。グループごとに社内研修のゴールを達成する優先順位を並べて、社内研修で実施する項目を決めていきましょう。

5.研修内容に対して適切な研修手法を選ぶ

社内研修を設計する5番目の手順は、研修方法の選定です。研修内容が決まったら、内容に合わせて以下の研修手法から適切なものを選びましょう。手法は自社の課題から逆算していきます。

例えば、離職率の低下の改善が課題の場合でも、その原因は多岐にわたります。企業文化・価値観がフィットしないことが離職の原因となる場合、社内情報の共有やコミュニケーションに重きを置いたOFF-JT研修が良いでしょう。

実務で使えるスキル・ノウハウの提供が不十分で、これが離職率につながっている場合、OJT研修でサポートしていきます。

6.研修の流れを調整する

社内研修を設計する6番目の手順は、研修の流れを調整することです。

社内研修で実施する項目が決まったら、各項目をどれくらいの時間で実施するか研修の流れを調整します。

研修を行う流れとして、大きく手順型と並列型の2種類が挙げられます。手順型は、実施する研修内容の順番が大事な場合に使い、並列型は各要素の関連性が特になく順番を自由に組める場合に使えます。

手順型と並列型の具体例を以下にまとめてみました。

■手順型:管理職のチームビルディング
・チームビルディングに対する理解度を深める
・ロールプレイを用いたシミュレーションを行う
・自身のチームでの行動予定を決める

■並列型:新入社員に必要なスキルを網羅的に学ぶ研修
・コミュニケーション方法
・ITスキル
・ビジネスマナー
・社会情勢 など

各要素を連続的に進めるのではなく、研修目標の共有や受講者の緊張をほぐすアイスブレイク、適度な休憩時間を設けて、従業員が最後まで集中して受講できる社内研修を決めてください。

7.社内研修の台本を作成する

社内研修を設計する7番目の手順は、社内研修の台本を作成です。

研修台本を作成しておくと、社内研修のゴールや内容をいつでも見返すことができ、当日スムーズに研修が進められます。具体的には、受講者に見せるプレゼン資料や教材などを作っておきましょう。

注意点として、台本には社内研修の中身を細かく記しておく必要があります。時間がかかる作業なので、普段の業務とのバランスを調整し、無理なく準備できるスケジュールを立てておくのがおすすめです。

8.効果測定を実施する

社内研修を設計する8番目の手順は、効果測定の実施です。

効果測定の方法としてアンケートを用いることが多いですが、アンケートは受講者の主観的な意見が含まれます。そのため、アンケート単体での効果測定では、本当に目標を達成できたか測定しにくい一面があります。

アンケートに加えて、従業員に今後のアクションプランシートの記入や、受講者が関わる業務のKPI(契約件数、クレーム発生率、資格取得率など)の変化を研修実施前後で測定なども有効です。

参考:【2022年版】即日使えるアンケート調査ツール15種を徹底比較!│LISKUL


まとめ

この記事では社内研修とは何か、実施する目的やメリット・デメリット、設計する方法を解説しました。

社内研修は、自社の従業員で行う研修です。外部の講師に依頼して実施する社外研修と違って、自由に研修内容を決められたりコストをかけずに研修を行えます。

社内研修には、実施する目的に応じて適切な方法があります。実務を通じて研修したいならOJT方式、普段の業務では得られない知識・ノウハウを提供したいならOFF-JT方式がおすすめです。

社内研修を実施するには、以下8つの手順で社内研修の中身を作っていきます。

  1. 解決したい課題に対して受講させたい従業員を決める
  2. 社内研修のゴールを設定する
  3. 担当講師を選ぶ
  4. 研修内容を決める
  5. 研修内容に対して適切な研修手法を選ぶ
  6. 研修の流れを調整する
  7. 社内研修の台本を作成する
  8. 効果測定を実施する

上記の流れに沿って作れば、受講生が満足できる社内研修が開けるでしょう。社内研修に対する理解を深めて、自社で社内研修を実施すべきか判断してください。

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