定性調査とは、数字では捉えきれない、消費者の深層心理や行動パターンを探り出して分析する調査を指します。つまり、消費者の言動から本音を探るリサーチ方法なのです。
具体的には、インタビューやミステリーショッパー(覆面調査)などで把握した消費者のニーズをヒントに、既存製品の改善や新しいアイデアの創出に踏み出すことができます。
定性調査で有用なデータを集めるには、数値で傾向をみえる化する「定量調査」との併用を含め、目的や状況に応じて適切な方法を選択することが肝心です。
そこで本記事では、定性調査のメリットや定量調査との違いといった基本から、具体手法例や戦略立案のステップなどの実践までを、分かりやすく解説していきます。
これから定性調査に取り組もうとしている方はもちろん、すでに実施しているがさらに効果的に活用したいという方もぜひご一読ください。
目次
定性調査とは数字では見えない消費者の本音を探るリサーチ手法
定性調査とは、数字では捉えきれない消費者の深層心理や行動パターンを探り出すマーケティングリサーチの手法です。つまり「消費者の本音を引き出す調査」なのです。
一般的な調査方法は、インタビューやミステリーショッパー(覆面調査)などが挙げられます。
「消費者の隠れた課題や感情を明らかにし、改善や戦略に活かしたいとき」は、定性調査の活用に適しています。
定性調査の実施に向いているシーンは、下記のとおりです。
- 製品の改善点を、消費者目線で見つけたいとき
- 現在のブランドイメージを探り、戦略を立てたいとき
- 顧客満足度が不調である原因を探りたいとき
- 広告が消費者にどう響いているか知りたいとき
- Webサイトの使いやすさを向上させたいとき
- 新しい市場に入る前に、顧客のニーズを知りたいとき
定性調査3つのメリット
まずは、定性調査がもたらす3つのメリットをご紹介します。
1.消費者の心理を紐解き、仮説を立案できる
定性調査は、消費者の生の声から現状を把握したうえで改善点を見つけ、それに基づいた仮説の立案が可能です。
たとえば、ある化粧品の購入理由を探るためにインタビューを実施した結果、「有名インフルエンサーの口コミで気になった」「メイク前のスキンケアに使いやすいからリピートしている」といった意見が上がりました。そこから、SNSの影響力や使用時間帯への意識などの仮説が立てられます。
仮説に沿って、インフルエンサーマーケティングの強化や「朝のスキンケア」としてのブランディングなど、より消費者に刺さる戦略を立てられるでしょう。
予想外の発見から新たなビジネスチャンスを創出できる
予想外の意見を得て、新しいビジネスチャンスに気づける点も、定性調査の大きなメリットと言えます。
たとえば、ある文房具メーカーが学生向けのノートの使用実態を調査するインタビューを実施した結果、予想外の使用方法が明らかになったとします。多くの学生が、ノートを単なる筆記用具としてだけでなく、各科目ごとのスケジュールや宿題管理のツールとしても活用していたことが分かったのです。
この発見を受け、カレンダーやタスク管理ページも付随したノートを開発し、学生向けの新しいシリーズとして売り出すなど、顧客層の開拓に踏み出せます。
このように、定性調査は消費者の実際の声や行動から、企業が気づいていなかった潜在的なニーズや市場を発見する可能性を秘めています。
柔軟に質問内容や方向性を修正し、深い洞察を引き出せる
定性調査は、調査の進行に応じて質問内容や方向性を臨機応変に調整できるため、より深い洞察を得やすいです。
たとえば、ある家電メーカーが新しい調理家電の開発のためにインタビューを実施しました。当初は自炊の頻度や調理時間について質問する予定でしたが、対象者から「健康志向」というキーワードが頻繁に出てきたので、調査者は健康に関する質問を急遽追加してインタビューを続けました。
その結果、栄養バランス管理や食材の栄養価保持への関心などが明らかになり、栄養計算機能や食材の最適調理方法の提案など、健康補助機能への需要について詳しく知ることができます。
このように、定性調査はその進行中に対象者の回答や状況に応じて質問を追加したり、テーマを深堀りしたりできるため、想定と離れた意見についても理解を深め、洞察を得られます。
定性調査と定量調査の違い
定性調査は「言葉や行動などの質的情報」、定量調査は「数値などの量的情報」に注目した調査方法です。
下記の画像では、具体的にその違いを比較しました。
定性調査は消費者を個別に深堀って深層心理や行動の背景を探るのに適している一方で、定量調査は大規模なサンプルを扱い、数値データを得られるのが特徴です。
そのため、定量調査は市場規模の推定、商品の普及率測定、消費者行動の傾向分析など、全体的な傾向や規模を把握したい場合に特に役立ちます。
定量調査について詳しく知りたい方は、この記事をご参照ください。
参考:定量調査で顧客ニーズやビジネスヒントを発見するための基本とコツをご紹介│LISKUL
定量調査は定性調査と組み合わせた実施を視野に入れる
実施の目的や状況にもよりますが、より正確な情報を得るために、定性調査を定量調査と組み合わせて実施する可能性を視野に入れておくことがおすすめです。
定性調査と定量調査で得られる情報は限定的ですし、下記の表のように、それぞれメリットとデメリットがあって補完しあうものだからです。
定性調査と定量調査を併用する具体例
定性調査と定量調査を併用する具体例を通して、どのようなステップで実施するのかイメージを膨らませましょう。
たとえば、広告案を企画しているとき、画像のような流れで調査を行うと、より実態に即したものを作成できます。
併用が難しい場合は目的や状況に応じて使い分ける
どちらかに調査を絞りたい場合は、目的や状況に応じて、より適した方法を選択することが重要です。
前述したように、定性調査と定量調査は組み合わせて実施することで詳細かつ正確な情報収集が可能になります。
しかし実際には、片方の調査を実施するだけでも十分なデータを収集できる場合や、両方にコストや時間をかけられない場合もあるでしょう。
どちらを優先させて実施すべきかは、下記をご参照ください。
知見のない課題や未知の分野を調査するときは、定性調査を優先させましょう。
- 新規市場への参入を検討している
- 顧客の潜在的なニーズや不満を探りたい
- 製品やサービスの改善点を具体的に把握したい
- 専門家や特定の属性を持つ少数グループを調査したい
- 幅広い視点から柔軟に質問したい
- 予想外の結果を詳しく調べたい
仮説や既存の知見を確認・検証するときは、定量調査を中心として進めます。
- 既存の仮説を検証したい
- 製品やサービスの評価を数値化して比較したい
- マーケティング施策の効果を測定したい
- 大規模なサンプルからデータを収集したい
- 迅速に結果を集計してまとめたい
定性調査の具体手法例と効果的なやり方
本章では、多岐にわたる定性調査の実施手法のなかから、最低限知っておくべきものを5パターンに分けてご紹介します。
各手法の具体例や依頼費用目安、実施時間目安、メリットは、下記の表で比較しておりますのでご参照ください。
意見を深堀りしていくインタビュー
インタビューは、調査対象者に直接話を聞き、その人の考えや感情、経験を深く掘り下げて理解する調査方法です。
インタビューの強みは、対話の中で重要箇所を詳しく知ることができたり、新たな気づきを得て理解を深められたりといった点にあります。調査者は対象者の発言に基づいてインタビューを進めるので、自然な流れでリアルな感情や本音に触れることができるのです。
インタビューの具体例
- デプスインタビュー:個別で詳細に対象者の考えや感情を掘り下げる
- グループインタビュー:グループでの行動や反応を含めて考えや感情を掘り下げる
インタビュー実施が適している場面
- 新商品のアイデアを考えるとき
- 今の商品やサービスの改善点を探るとき
- 消費者が商品を選んだ理由や背景を知りたいとき
- 特定の専門家や業界のキーパーソンから専門的な見解を得たいとき
参考:ユーザーインタビューとは?種類や実施の流れ、ポイントを紹介│LISKUL
デプスインタビューとは?メリットとニーズを引き出す実施のポイントを解説│LISKUL
新たな視点を引き出すディスカッション
ディスカッションは、複数の参加者を集めてグループで議論する形式です。
この手法の強みは、参加者同士の相互作用です。ディスカッションを通じて、他の人の意見に触発された新しい考えや視点が生まれるので、さまざまな人の意見を比較しながら集めることができます。
一方で、集団での議論に引っ張られ、個人の本音が出にくくなることもあるので、参加者全員が発言しやすい雰囲気をつくるなどの注意が必要です。
ディスカッションの具体例
- フォーカスグループディスカッション:ファシリテーターが議論を進行して、特定のテーマに対して深く掘り下げる
- ラウンドテーブルディスカッション:同じテーマに対する意見を自由に議論して、多様な意見を集める
ディスカッション実施が適している場面
- 新しい広告の反応を確かめたいとき
- 商品のパッケージや名前を決めるとき
- 新サービスのコンセプトに対する意見を集めたいとき
- 異なる客層の意見を比べたいとき
リアルな行動を捉えるフィールドワーク
フィールドワークは、調査者が現場に赴き、実際の環境で人々の行動や習慣を観察する手法です。インタビューやディスカッションでは明らかにならない「自然な行動」を観察できる点が特徴です。
この方法は、特定の行動や状況を客観的に記録し、調査者自身が体験を通じて現場の理解を深めることができます。
フィールドワークの具体例
- ミステリーショッパー:調査者が一般の顧客としてサービスや商品を体験し、その品質や顧客対応を評価する
- エスノグラフィー:調査者が長期間にわたり特定のコミュニティに関わり、その文化や習慣を理解する
フィールドワーク実施が適している場面
- サービスの流れを実際に確認したいとき
- 消費者が店内で実際にどう動くかを見て、店のレイアウトを改善したいとき
- 消費者が実際に商品をどう使っているか見たいとき
- 仕事の効率を上げるため、実際の作業を見たいとき
実際の使用体験を重視するプロトタイプテスト
プロトタイプテストは、新しい商品やサービスを実際のユーザーに試してもらい、その反応や使い方を観察する手法です。
この方法では、商品の良い点や改善点を具体的に把握できるとともに、実際の使用シーンや反応を見ることで、より深い理解と気づきが得られます。
プロトタイプテストの具体例
- 会場調査:消費者が展示会やイベント会場で直接プロダクトを体験し、反応や意見を収集する
- ホームユーステスト:消費者が日常的な使用環境でプロダクトを試用し、感想を記録する
プロトタイプテスト実施が適している場面
- 商品の試作品への反応を見たいとき
- 新サービスの流れを実際に試してみたいとき
- 新しい機能をリリース前に確認したいとき
- 使用した感想から、消費者に刺さるキャッチコピーの気づきを得たいとき
- いくつかのデザイン案から最もユーザビリティの高いものを選びたいとき
参考:ユーザビリティテスト実施のポイントと、成果につながった3つの成功事例│LISKUL
特定の事例を徹底分析するケーススタディ
ケーススタディは、特定の個人や組織、プロジェクトを対象に深く掘り下げて研究する手法です。
この方法の魅力は、特定の事例を詳細に分析し、実態に即した教訓を得ることができる点です。
特に、企業の成功事例や失敗例、社会現象など、特定のテーマに関連する要因を明らかにする際に有効です。
ケーススタディの具体例
たとえば、A社はYouTube広告の成果が伸び悩んでおり、他企業の成功事例からヒントを得ようとしたとします。調べていくうちに、再生5秒後に表示されるスキップボタンを逆手にとった事例や、購入後のイメージを視覚的にアピールした事例などを知り、自社広告に足りていない「冒頭5秒で興味を惹く・購入後のイメージをわかせる」という要素に気が付くことができました。
参考:動画広告の事例8選から学ぶ、成果を挙げるために実施すべき3つのポイント│LISKUL
ケーススタディ実施が適している場面
- 他社と比較して自社の弱みを知りたいとき
- 新しい市場での成功例や失敗例を調べたいとき
- 特定のプロジェクトの成功理由を知りたいとき
定性調査データを戦略に活かすまでの5ステップ
本章では、定性調査で得た情報を整理して次の戦略に落とし込むための5ステップをご紹介します。
定性調査を上手く活用するためにも、データの収集から戦略の検証までを具体例とともに押さえていきましょう。
目的:新しいスマートフォンアプリに関するユーザー体験の改善点を検討する
調査:実際に使用してもらいながらターゲット層20人にインタビューを実施する
アプリの機能:タスク管理、リマインダー、進捗管理機能、シンプルなUIデザイン
ターゲット層: 25~35歳のビジネスパーソン
1.データを整理する
定性調査のデータを効果的に活かすためには、まず収集したデータを整理しましょう。
整理されていないデータは分析しにくく、戦略に落とし込むことができません。
最初は手間がかかりますが、きちんと整理しておくと、次の分析作業がスムーズに進むので欠かさず行いましょう。
- インタビューやアンケートの内容を正確に記録
- 録音データの文字起こし
- 誤字脱字を修正
- データをテーマや質問ごとに分類
- 関連性のある情報をグループ化
2.コーディングして共通項を見つける
収集したデータにコーディングを行い、共通のパターンやテーマを見つけ出します。
コーディングとは、データに短い言葉や記号をつけて分類する作業です。これにより、大量の情報から重要な共通点を見つけ出すことができます。
たとえば、インタビューの回答に「使いやすいが、タスク追加が面倒=操作性(負)」「通知設定が細かくて良い=通知設定(正)」などのコードをつけると、多くの顧客が重視している要素が明確になります。
どのようにコーディングすれば良いか悩んだ場合は、目的に立ち返り、どんな情報を得たいかを意識して考えます。具体例の目的は「改善点を検討する」なので、負のコメントを優先してコーディングしました。
コーディングを行うと、バラバラだった情報が整理され、データ全体の傾向が見えてきます。抜け漏れや重複のないように、注意して進めましょう。
3.仮説を形成する
コーディングで見つかったデータの傾向をもとに仮説を立てましょう。
たとえば、「多くのユーザーが、タスク追加やプロジェクト管理の操作が複雑だと感じている」という傾向が見つかれば、「操作手順を簡略化することで、ユーザー体験が向上し、アプリの使いやすさが改善される」という仮説が立てられます。
仮説が上手く立てられずに悩んだ場合は、下記のフレームワークの活用がおすすめです。データを幅広い視点から見つめなおすことができます。
- ナラティブ分析:調査対象者の語りや経験を通じて行動理由を探る
- カスタマージャーニーマップ:調査対象者の行動や感情を時系列で整理する
- ペルソナ分析:典型的な顧客像を作り上げて行動理由を考察する
- 5W1H分析:事象を5W1Hに分解して多角的に分析する
参考:5分でわかるカスタマージャーニーとは?取り入れ方や分析のコツを事例とともに解説│LISKUL
4.戦略を立案する
仮説を基に具体的な戦略を立て、実行します。
たとえば、先ほど立てた「操作性のシンプル化が必要」という仮説から、「タスク追加やプロジェクト管理のインターフェースを再設計し、よりシンプルな操作を実現する」という戦略を立てることができます。
この段階では、SWOT分析やバランススコアカードなどの戦略立案フレームワークを活用しましょう。
参考:SWOT分析とは?定義から具体例、方法までわかりやすく解説│LISKUL
5.検証する
戦略の実行後も定期的に効果を測定し、必要に応じて修正を加えましょう。
結果を踏まえて、さらに踏み込んだ定性調査や、要点を絞った定量調査などを実施するのもおすすめです。
定性調査を成功させるためのポイント
本章では、定性調査を成功させるために「最低限押さえておくべきポイント」をご紹介します。
定性調査を実施し、有用なデータを集めて次の一手へのヒントとするために、一緒に確認していきましょう。
調査目的は明確に設定する
定性調査の目的設定は、具体的に設定しましょう。
漠然とした目的では得られる情報も曖昧になりがちですし、調査を進めるうちに方向性が大きくそれてしまう可能性があります。
結果の分析も目的に沿って焦点を絞りやすくなるので、「どんな情報を集めてどう使いたいのか」の言語化は重要です。
質問設計は抽象から具体への流れを意識する
質問の順序は、一般的な質問から具体的な質問へと進めるように設計しましょう。
回答者の意見を自然な流れで引き出すことで、調査者側の意図を反映させず、よりリアルな情報を集められます。
質問設計に不安がある場合は、実際に社内などでテストを実施し、質問の有効性や明確さを事前に確認するようにしましょう。
トレーニングした担当者が調査する
定性調査は消費者の言動や感情の機微を読み取って行うため、調査担当者の技術が、得られる情報の深さと質に直結します。
トレーニングしていない担当者が実施すると、インタビューでは相手の言葉を深掘りせずに次の質問に移ってしまったり、フィールドワークでは意外な気づきとなる行動を見逃したりするリスクが高まります。
こうした技術は、一朝一夕では習得できません。継続的なトレーニングの実施に不安のある場合は、専門サービスを頼ることをおすすめします。
先入観を持たずにデータを解釈する
データを分析するときは、客観性を保ちつつ多角的に情報を解釈することが重要です。先入観や思い込みでデータを見ると、定性調査ならではの新たな気づきを見逃す危険があります。
たとえば、「高齢者はデジタル機器が苦手」という先入観があると、高齢者だからこその意外な使い方や工夫を見落としかねません。
調査対象者のプロフィールを知らない状態でデータを見たり、複数人で話し合いながら気になる箇所をまとめたりといった工夫のもとで分析に取り掛かるようにしましょう。
定性調査のよくある落とし穴と対策
定性調査を実施、分析するときに、その特性から一度は陥る落とし穴とその対策をご紹介します。
1. 調査対象者の選定が偏ってしまう
定性調査は少人数を対象に行うため、ターゲット層などを考えて調査対象となる消費者を選定すると、年齢層や職業が偏ってしまいがちです。
似た背景を持つ人を対象としても、一部の意見しか反映されず、得られるデータは視野の狭いものになるおそれがあります。
調査対象者を選ぶ際には、多様な背景や視点を持つ人々を選定するように心がけます。
ターゲット層で年齢層が定まっている場合でも、想定していなかった層からの意見が新たな気づきになる場合もあるので、範囲を広げて選定するようにしましょう。
2. 質問が曖昧でデータが浅くなってしまう
質問が曖昧だったり、誘導的であったりすると、回答として得られるデータの質が著しく低下する可能性があるので注意が必要です。
▼漠然とした質問
改善前:「あなたの食習慣について教えてください」
改善後:「一日の中で、どのタイミングで最も食事の内容を気にしていますか?」
▼誘導的な質問
改善前:「この製品は良いと思いませんか?」
改善後:「この製品を使用した際に、どの点が使いやすい・使いにくいと感じましたか?」
調査を始める前に、できるだけ具体的な表現にした質問のリストを準備します。オープンクエスチョンを避け、「どんなことを答えればいいのか」が分かるようにします。
対象者から曖昧な回答が返ってきた場合は、まだ抽象度が高かった可能性があるので、聞きたい箇所が齟齬なく伝わるような追加質問を投げかけて、深堀りしましょう。
3.結果を一般化してしまう
定性調査のデータを集めていると、調査対象以外にもその結果が当てはまると考えてしまいがちです。
調査対象者が限定されてしまう定性調査は、全体の傾向を示しておらず、マジョリティ側のデータとは言えません。
定性調査の結果は、あくまでも気づきを得たり、仮説を立てる材料として捉えます。必要に応じて、定量調査を組み合わせることで、より広い範囲での検証を行って整合性を確かめましょう。
4.調査結果の解釈に時間がかかってしまう
定性調査で得たデータは言葉で示されるので、整理して解釈に落とし込むのに時間がかかりがちです。
その結果、せっかくの調査結果が活用されないまま、次の意思決定のタイミングを逃してしまうことがあります。
調査で得られた結果をどう活用するかを事前に定め、情報の優先順位を決めておきましょう。
「サービスの改善を目的として未着手の問題を見つけたい」→「不満を挙げている意見から整理する」のように、必要なデータを早い段階で用いるためにも優先度の決定は欠かせません。
おすすめの定性調査サービス5選
本章では、定性調査の実施時に活用できるサービスを5つご紹介します。
おすすめサービスのピックアップ方法としては、参考記事で紹介されているものから定性調査を複数提供しているサービスを選出し、対応手法の多い順に並び替えて掲載しています。
社内リソースでは実施が難しい場合や、非数値のデータ収集に不安がある場合は、外部の専門サービスに依頼することも検討しましょう。
参考:【2024年最新版】ネットリサーチおすすめ36選を比較!選び方も紹介│LISKUL
1.インテージ/株式会社インテージ
市場調査・マーケティングリサーチなら株式会社インテージ
導入者数5,000社以上の国内最大手のマーケティングリサーチであるインテージでは、下記の定性調査を実施可能です。
- リモートインタビュー
- CLT(会場テスト)
- ミステリーショッピング(覆面調査)
- ホームユーステスト(HUT)
- 店頭アンケート
など
初期費用 | 要問い合わせ |
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料金プラン | ■ネットリサーチ(インターネット調査) ・モニター利用調査:84,000円~/5問 ・事前調査(スクリーニング):85,000円~/5問 ・既存顧客・会員向け調査:150,000円~/10問 ※税別価格 |
2.ネットリサーチ/株式会社ネオマーケティング
年間3万件以上のリサーチ実績のあるネットリサーチでは、下記の定性調査を実施可能です。
- オンラインインタビュー
- グループインタビュー
- デプスインタビュー
- CLT(会場調査)
- HUT(ホームユーステスト)
など
初期費用 | 要問い合わせ |
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料金プラン | 要問い合わせ |
3.アスマーク/株式会社アスマーク
【公式】| 市場調査・マーケティングリサーチ会社のアスマーク
調査票チェックや分析・集計ツールなどを無料提供するアスマークでは、下記の定性調査を実施可能です。
- グループインタビュー
- デプスインタビュー
- エスノグラフィー調査
- チャットインタビュー
- ユーザビリティテスト
など
初期費用 | 要問い合わせ |
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料金プラン | ■基本料金:5問以下/100人 40,000円~ ■スクリーニング料金:7問以下/2,000回収 35,000円~ ■オプション ・静止画貼り付け:3点まで無料 ・動画貼り付け:15秒/30秒(MPG)20,000円 ※その他詳細は公式サイト参照 |
4.クロス・マーケティング/株式会社クロス・マーケティング
調査の企画から分析までを一貫してサポートしてくれるので、調査初心者でも安心して利用できるクロス・マーケティングでは、下記の定性調査を実施可能です。
- オンラインインタビュー
- グループインタビュー
- デプスインタビュー
- 会場調査
- ホームユーステスト
など
初期費用 | 要問い合わせ |
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料金プラン | ■マーケティングリサーチ ・ネットリサーチ:90,000円~ ・LINEリサーチ:85,000円~ ・ホームユーステスト:550,000円~ ※その他詳細は公式サイト参照 |
5.Pontaリサーチ/株式会社 ロイヤリティマーケティング
Pontaリサーチ | アンケートに回答してPontaポイントをためよう
Pontaポイントの提供により、消費者の熱心な調査協力を獲得可能としているPontaリサーチでは、下記の定性調査を実施可能です。
- グループインタビュー
- デプスインタビュー
- 覆面調査
- 会場調査
など
初期費用 | 要問い合わせ |
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料金プラン | ■スクリーニング費用:5問/10,000s 50,000円 ■本調査費用:10問/100s 80,000円 ※税別価格 ※その他詳細は要問い合わせ |
まとめ
定性調査とは、消費者の言動や感情から、本音を探るリサーチ方法です。
消費者の隠れた課題や感情を、自社サービスなどの改善や戦略に活かしたいときに活用されます。
定性調査を効果的に実施するためには、目的や状況に応じてインタビューやディスカッション、フィールドワークなどの手法から適したものを選択するようにしましょう。
時間やコストがあれば、定量調査と組み合わせて幅広くリサーチし、より正確な情報を集めることもおすすめです。
本記事では、定性調査のメリットや定量調査との違いといった基本から、具体手法例や戦略立案のステップなどの実践まで、分かりやすく解説しました。
定性調査によって有用なデータを集めて次の一手へ踏み出すために、本記事が一助となれば幸いです。