LINE広告は、ターゲティングや入札方法・クリエイティブなどの運用方法を見直すことで、大きく改善できる場合が多々あります。適切に広告設定を調整し、PDCAを回していくことが重要です。
本記事では、LINE広告のコンバージョン成果がうまく出ていないときに、まず絶対に確認してほしい5つの設定を解説します。また、実際にLINE広告で多くの実績がある広告代理店運用者が監修を行い、現場運用でしか発見できないような、リアルな運用ポイントをいくつか紹介します。
この記事を読めば、求める成果に繋がるLINE広告の運用方法が分かるようになります。
一度、LINE広告の設定を徹底的に見直してみましょう。
目次
LINE広告の絶対に見直したい5つの設定
LINE広告は設定次第で効率が悪い配信面や、効果の出ないLINE利用者に配信してしまう場合があります。効率の悪い配信を行っていくと、成果が上がらず配信コストだけが増えて行くため、効率を上げるためにまずは次の5つの設定ポイントを重点的に見直していきましょう。
- 設定ポイント1:配信属性を見直す
- 設定ポイント2:地域別の設定を見直す
- 設定ポイント3:オーディエンスターゲティングを見直す
- 設定ポイント4:入札方法を見直す
- 設定ポイント5:アカウント構造を見直す
【LINE広告の設定ポイント1】配信属性を見直す
まず、広告グループごと設定できる、配信属性を見直してみましょう。配信属性を狭めすぎたり、広くし過ぎたりした結果、成果の出る年齢や性別に、配信が行えていない可能性があります。
また、年齢層や性別に関する限定性のない商材や、リターゲティングをする場合、性別や年齢をターゲティングすることは配信機会の損失に繋がります。
まずは、管理画面から配信実績を年齢別に確認してみましょう。パフォーマンスが高くない年齢があれば、配信除外設定を行います。配信実績の高い年齢があれば、その年齢に刺さるクリエイティブを探っていくことで、成果を伸ばしやすくなります。
見直し方のポイント
- レポートから配信実績を確認
- 年齢や性別ごとの対費用効果を見直し
- 対費用効果の低い年齢を除外を検討
【LINE広告の設定ポイント2】地域別の設定を見直す
新店舗オープンの広告や既存店舗の売り上げ向上など、地域セグメントの設定が重要な広告の場合は、地域セグメントの見直しを行いましょう。商圏を意識して設定していない場合、成果が出る可能性が高いLINE利用者に広告が配信できていないことがあります。
まず、パフォーマンスレポートの集計単位を「地域」にしてダウンロードしてみましょう。現在、成果のある地域はどこか、地域設定が商圏を意識して設定できているか、改善点を判断できます。
改善が必要と判断される場合は、LINE広告の設定から地域を変更します。LINE広告では、都道府県から市区町村レベルで地域を設定可能です。また、特定の場所を検索したり、ピンを設置したりすることで、半径3~50㎞の数値を指定できます。
改善時にもう1つ注目したいのが、配信対象です。次のような判断基準を元にしているため、商材に合わせて使い分けましょう。
- この地域に最近いた人(GPSによる判断)
- この地域に住んでいる人(GPSにより夜間に該当地域にいる時間が長い人)
- この地域で働いている人(GPSにより昼間にいる時間が長い人)
たとえば、既存店舗のキャンペーンを宣伝する場合、「この地域に最近いた人」だと短期間だけ対象の地域にいた旅行者も含める可能性があります。「この地域に住んでいる人」や「この地域に済んでいる人」を選ぶことで、より店舗に来店してくれる可能性の高いLINE利用者に広告を配信できるでしょう。
注意点として、地域情報は居住地ベースのデータとなっています。勤務地やLINE利用者の現在地はデータとして利用できません。
参考:レポートをダウンロードする|LINE for Business
見直し方のポイント
- パフォーマンスレポートの集計単位を「地域」にしてダウンロード
- 商圏と照らし合わせてターゲットユーザーがいる地域に配信できているか確認
- 費用対効果が悪い地域の除外を検討
【LINE広告の設定ポイント2】地域別の設定を見直す
LINE広告のオーディエンスとは、ターゲティング設定の1つです。カスタマーデータやLINE公式アカウントの友だち情報などを活用し、LINEを利用している既存顧客に広告を出す際に利用します。
しかし、オーディエンスの内容と顧客の層が合っていない場合や、オーディエンスを1つしか使っていない場合、効率の悪い利用者に広告配信を継続している可能性があります。同じユーザーや、すでにコンバージョンしたユーザーに何度も広告が表示されてしまうためです。
初回購入の広告など、同じユーザーに広告を送信しても成果に繋がらないと判断できる場合には、除外したいオーディエンスを追加して設定しましょう。詳しい配信方法については、LINEの公式マニュアルを参照してください。
参照:オーディエンスを使って配信する|LINE for Business
また広告配信の際には、管理画面の「推定オーディエンスモジュール」の活用もおすすめです。これは、地域や性別など、ターゲット設定を行った場合に、どの程度の広告配信対象者がいるか、推定数をチェックできる機能です。
推定オーディエンスサイズは、オーディエンスの種類により、内容が異なります。
オーディエンス | 内容 |
ウェブトラフィックオーディエンス | 配信可能な利用者の数 |
モバイルアプリオーディエンス | イベントを発生させた利用者の数 |
IDFA/AAIDアップロード、電話番号アップロード、メールアドレスアップロード | アップロードしたデータの数 |
LINE公式アカウントの友だちオーディエンス | アカウントの有効友だち数、ブロック中の友だち数 |
参考:「オーディエンス推定サイズ」とはなんですか?|LINE for Business
オーディエンスを作成すると、まず「準備中」という表示になり、その後「有効」に切り替わります。アップロードの内容によって有効になるまでの時間は、数時間以上かかることもあるため、注意が必要です。
特にLINE公式アカウントの友だちオーディエンスを利用する場合は、最大で2~3日かかります。新しくオーディエンスを追加する場合は、数時間から2~3日かかるケースがあることも覚えておきましょう。
見直し方のポイント
- オーディエンスと広告内容や目的が合っているか確認
- コンバージョン済みのユーザーに配信しないように除外設定を活用
- 推定オーディエンスサイズを活用
【LINE広告の設定ポイント4】入札方法を見直す
LINE広告では、1つの広告枠に対しいくらと費用が決まっているわけではありません。オークション方式で広告が表示されるか決まるため、費用が安くなるか、高くなるかは、広告を出稿する企業の数で決まります。
低い入札額を提案すると、他の企業とのオークションに勝てず、広告が効果の高い場所に配信されていない可能性があります。
次のような方法で入札している場合は、入札方法を改善してみましょう。
- 手動入札で入札価格を最低入札単価にしている
- 自動入札で目標CPAに近い金額もしくは低い金額を設定
LINE広告では、自動入札が推奨されています。CPAが高くなりすぎるリスクをおさえつつ、配信効率を高められるからです。
また、リターゲティングを目的に広告配信を行っている場合、上記の3つの配信方法だけでなく「自動入札で上限CPAを設定する」ことも避けたほうがよいとされます。上限CPAを設定すると、配信数が抑えられてしまい、利用者に広告が届く機会が減ってしまうためです。
リターゲティングを目的とする場合は、自動入札よりも手動入札で高めの単価を設定した方が効果が出やすくなります。
見直し方のポイント
- 自動入札の設定を検討
- リターゲティングを目的にする場合は手動入札で高めの単価を設定
【LINE広告の設定ポイント5】アカウント構造を見直す
LINE広告の広告アカウントの構造自体が、効果検証に不向きになっている場合があります。次のようなアカウント構造なっていないか、見直してみましょう。
- クリエイティブの数に対し、キャンペーンや広告グループが多い
- 1つの広告グループに動画と画像(静止画)の広告を混ぜて配信している
- 1つのキャンペーンで複数の配信を行っている
- 1広告グループに対し、配信しているクリエイティブの数が1~2本しかない
まず、LINE広告の構造は4階層となっています。広告アカウントの中に配信目的別の「キャンペーン」を作成でき、さらにキャンペーンの中にターゲティング別の「広告グループ」を作成できる、という構造です。改善する際は、キャンペーンの内容から順番に見直していきましょう。
見直し方のポイント
1つのキャンペーンに配信方法が異なるグループをごちゃまぜにして設置すると、双方のターゲティングに該当するユーザーに同時に広告を配信する状態になります。すると、CPAが高騰してしまったり、重複したユーザーに配信して成果が出ないことがあります。
1つのキャンペーンの中に、複数の配信方法がある場合は、まずはキャンペーンを配信方法ごと別に分けてみましょう。たとえば、年齢や地域といったデモグラフィックデータ配信をベースにするなら、同一のターゲティング方法の広告グループだけでキャンペーンを作る、といった分け方です。
広告グループを見直す
LINE広告では広告フォーマットによって配信面が異なります。したがって広告グループに配信フォーマットを混ぜて入れてしまうと、正確な効果が分からなくなる元です。
ただし、あまり細かく分け過ぎると、今度は配信母数が少なくなってしまいます。LINE広告では、クリエイティブと配信量の関係性が深いため、広告グループは使用している画像や動画のサイズごと分けてみるとよいでしょう。
不要なグループやキャンペーンは停止し、効果を検証しやすいアカウント構造に変更していきましょう。
見直し方のポイント
- 1つのキャンペーンで配信方法が違うグループを扱っていないか確認
- 同じ配信方法ごとにキャンペーンを分ける
- 動画と画像(静止画)のサイズごと広告グループを分ける
- 1広告グループに対し配信するクリエイティブの数は2本以上
LINE広告のさらなる運用改善ポイント
LINE広告の運用をさらに改善していくには、ある程度王道のパターンがあります。
ポイントは、大きく分けてターゲティングと広告クリエイティブの2つです。
リマーケティングを活用する
リマーケティングとは、利用者のサイト来訪データを元に広告を配信することです。自社サイトへ訪問したユーザーに対して、LINE広告を配信できます。広告配信にかけられる予算が少ない場合でも、配信対象を絞り込むことで、広告効果を高められます。CTRを高めたり、CVR改善効果が期待されます。
LINE広告では、LINE Tagというタグを使ってデータを収集しオーディエンスとして利用することにより、リマーケティングが行えます。
LINE Tagは主にサイトにアクセスしてくれた利用者や、一定のページまで到達してくれた利用者を計測できます。たとえば、CVとして資料請求を設定している場合、それより前の階層にもLINE Tagを設置して、他の階層にアクセスした利用者を対象に、リマーケティングを行ってみましょう。
類似配信を活用
類似配信とは、すでに成果が上がっている顧客の属性に似たLINE利用者をターゲットとし、広告を配信する機能です。リマーケティングをすでに行っている場合やCVに至った顧客のデータを利用したオーディエンスがある場合、類似配信行うことで、これまでより多くの利用者にリーチできる可能性があります。
類似度は自動調節がオススメ
類似配信では、元となるオーディエンスにどの程度似ているかを、類似度という項目で調節できます。類似度は1~15%の間で決定できますが、おすすめは自動という設定です。
自動に設定すると、自動入札を設定している広告グループの場合、より効果があると判断された類似度に対し入札額が高くなります。つまり、効果とターゲティングの精度を両立したまま、類似配信が利用可能です。
詳細な設定については、公式サイトを参照してください。
参考:類似オーディエンス|LINE for Business
広告クリエイティブを2週間~1ヶ月単位定期的に変更
すでにLINE広告を配信して2週間経過しているのであれば、クリエイティブの変更を行ってみましょう。同じLINE広告の配信画面で、何度も繰り返しユーザーが目にしたことで、同じクリエイティブへの反応が悪くなっている可能性があります。
クリエイティブを変更する場合は、1広告グループあたり3~5本を目安にクリエイティブをONにしておき、反応を検証します。ONにするクリエイティブの数は、1広告グループあたりの月間CV数の予測を元に、1広告あたり10件以上のCVが得られる数を見極めていくことで、よりよいクリエイティブ検証が行えるようになります。
同じクリエイティブを継続するか判断する際は、クリック数が1つの目安です。40クリックを超えなければ配信を停止し、効果があったクリエイティブを継続しつつ、新規クリエイティブを検証していきましょう。
ただし、1日だけでは判断できないことがほとんどです。1つのクリエイティブに対し、2週間から1カ月単位で定期的に評価し、改善していきましょう。
クリエイティブを作成し、配信フォーマットを最大限活用する
クリエイティブの画像・動画サイズを1つしか試していない場合は、LINE広告の配信フォーマットを網羅して、配信面を増やしてみましょう。配信に利用できるサイズとフォーマットは、以下の4通りです。
- 動画(1:1/9:16/16:9)
- 静止画(1080×1080/1200×628/Small Image600x400)
- カルーセル(1080×1080)
- DPA(LINE広告におけるダイナミック広告のこと)
このうち、もっとも優先順位が高いのは静止画の1080×1080です。多くの配信面に対応しており、1メッセージ1ビジュアルで訴求軸に合わせた簡潔な内容を低コストで作ることができます。
ほかにも、業界と配信フォーマットの相性も注目されています。以下は動画とテキストが組み合わさった、静止画のSmall Imageというフォーマットです。
人材業界での成果が高いとされ、テキストでシンプルにメッセージを伝えられることから、メリットを端的に伝えたいサービスに向いています。
また、動画広告は勝ちパターンが見つかると、静止画よりもCTRが高く出るという強みがあります。今後もLINE広告で成果を伸ばしていきたいのであれば、たとえば静止画の一部だけが動く動画広告を配信してみるなど、動画の要素を取り入れ、効果検証をスタートしてみてはいかがでしょうか。
LINE広告の入札設定のポイント
運用型広告であるLINE広告を、より効果的に運用するには、入札設定は重要なポイントです。おすすめの設定と、注目したいポイントを解説します。
自動最適化入札を積極的に活用
自動最適化入札とは、LINE広告のAIが設定されたキャンペーン目的に応じて、入札価格を最適化してくれるシはステムです。デモグラフィックデータ配信や、類似配信など、新規の利用者を獲得する配信に欠かせません。
最大のメリットが、広告グループ単位で入札の最適化を行ってくれるため、配信結果に基づいて手動で入札額を調整する手間がかからなくなることです。LINE広告は機能も多いため、自動入札をいかに活用するかが、効率的な配信に影響を及ぼします。
自動最適化入札を行うポイントは、次の3つです。
- 自動配信を行い1広告グループに40CVを蓄積する
- 広告グループを増やし過ぎない
- 入札戦略を目標に合わせて設定する
まず、自動最適化入札を行うには、機械学習を進める必要があります。しかし手動入札では機械学習が進まないため、自動配信を選択し、1広告グループあたり40CVをクリアすることを目指しましょう。ただし、もともと利用できる顧客リストが少ない場合は、手動入札の方が効果的です。
また、広告グループを増やし過ぎると、結果として1広告グループあたりの予算が少なくなります。広告グループはクリエイティブのサイズごとに設定し、CVが溜まりやすく、検証しやすいアカウント構造にしていきましょう。
実際、LINE広告の自動配信を有効活用できているアカウントのデータによると、ターゲティング設定を広めに設定しているアカウントほど、より成果の出る利用者へリーチできている傾向があります。
引用:LINE広告の最新トレンド丨動画配信・自動入札・LINE広告ネットワークの活用が増加!|LINE for Business
合わせて活用したい項目が、入札戦略です。目的に合わせた入札タイプを設定するための項目であり、予算の消費と効率のどちらを重視するかを設定できます。設定できる内容は、以下の3つです。
- 配信数が少なくてもCPA厳守したいなら「入札額の上限を設定」
- 日予算分を消化しつつCPAをできるだけ守りたいなら「イベント単価の上限を設定」
- 配信数をとにかく伸ばしたいなら「イベント単価の目標を設定」
詳細な設定については、公式サイトを参照してください。
参考:アップデートされた「入札戦略」を活用して、広告効果の最大化を目指す|LINE for Business
日予算は目標CPAの5倍は確保
1日あたりの予算は、目標とするCPAに対しおよそ5倍を目安に設定しましょう。自動最適化入札を利用するなら、機会学習の速度を早めることも大切になります。CVを40件貯めるのに、1週間で完了する場合と、1ヶ月かける場合では、学習状況は前者の方がよいためです。
1広告グループあたり、最低40CVは蓄積できるような予算配分とアカウント設計にする
40CVを貯めるには、結果としていくら必要なのか逆算して、広告グループごと予算配分を行いましょう。
前述の通り、1広告グループにつき、1日あたり4~5件のCVを得られる日予算を目安とします。限られた日予算だとAIが「入札しても競合に負けそう」と判断してしまい、広告配信の機会を失ってしまうためです。
CVが蓄積しづらい場合は、カスタムCVを活用
なかなかCV数が伸びなかったり、予算が少なかったりする場合は、LINE Tagの設定を工夫します。最終CVの前の階層のページにもLINE Tagを設置しカスタムCVを設定することで、自動入札システムのデータの蓄積に用います。前向きに商品購入やサービス利用を検討している利用者を対象に、機械学習を深めるという方法です。
カスタムCVの設定例としては、
- 資料請求の前のフォーム来訪をカスタムCVにする
- 商品購入前のLP(ランディングページ)来訪をカスタムCVにする
- 商品購入前のカート投入をカスタムCVにする
などが良いでしょう。
目標である40CVを早く貯めることで、機械学習を進め、CVに至る可能性を高めていきましょう。
競合が多い業界はイベント単価の上限を設定がオススメ
特に競合が多い業界は、自動入札の機能である「入札戦略」の「イベント単価の上限を設定」がおすすめです。強気な入札で配信が伸びやすく、CVを早く貯めることで、自動入札を最適化するのに必要なCV40件を早期にクリアできるからです。
設定を行うことで、イベント単価の上限を超えない範囲で、最適な入札単価を設定してくれます。配信開始してすぐはCPAが高く出るものの、最適化を促進することで、単価と効果を重視してバランスよく広告運用を進められます。
入札戦略について詳しく知りたい方は、以下の公式URLも参考にしてください。
参考:アップデートされた「入札戦略」を活用して、広告効果の最大化を目指す|LINE for Business
リターゲティングは手動入札の方が良いケースが多い
ここまで、自動入札によるメリットを解説してきました。しかし、リターケティングを行う場合には、手動入札の方が効果が出ることがあります。リターゲティングの対象となる利用者の数が少ない場合、自動入札の機械学習が完了するまで時間がかかりすぎてしまうためです。
ただし、リターゲティングに利用できる顧客リストが豊富であれば、自動入札を利用するのも手です。
LINE広告のクリエイティブのポイント
LINE広告の設定において、自動入札を効率よく高め、広告機会を最大限増やすにはクリエイティブも重要なポイントです。ここでは、LINE広告のクリエイティブについて、3種類の配信フォーマットそれぞれのポイントと、全てのクリエイティブに共通して役立つ2つのポイントについて解説します。
画像(静止画)
LINE広告で基本となる画像(静止画)のクリエイティブを作成する際には、映えが重視されるインスタ広告やFacebook広告と異なり「シンプル」で「目立つ」広告の方が成果が良いとされます。
どのような画像(静止画)がよいのか、ポイントをおさえて作成しましょう。
BAD
- 訴求軸が複数含まれている
- 伝えたいことが多すぎて細く読みづらい字体を使ってしまっている
- 文章が長くて複雑になっている
- スマホで見ると書いてある内容が読みづらい
- イラストの色や線が薄くて見づらい
- 画像と訴求軸が合っていない
GOOD
- 訴求を明確にしてシンプルに作られている
- 目立つ字体で文章を分かりすい
- イラストなら線の太いシンプルなイラストが使われている
- 画像なら使用シーンなどリアルな画像が使われている
- 背景をベタ塗りにして画像を見やすくしている
GOODポイントをまとめると、以下のような画像がLINE広告には向いています。
訴求が明確でシンプルな方がよいとされるのは、LINE広告では広告配信量のうち約60%が、LINEニュースに配信されるためです。LINEニュースでは、画像が以下のように小さく配置されます。画像サイズによらず、パッと見た瞬間に訴求がシンプルに分かる画像の方が、利用者からも注目されやすいのです。
サイズなどについて詳しく知りたい方は、媒体資料を参考にしてください。
参考:LINE Business Guide 2021年1月-6月期|LINE for Business
動画
LINE広告向けの動画を制作する際は、次のポイントに注目してみましょう。
- 静止画動画(GIF)から挑戦してみる
- 冒頭に重要な内容や興味を引く内容がある
- 最後まで視聴を維持してもらえるよう利用イメージを想起させる
LINEでは、YouTubeなどと比べ、動画広告はストーリー仕立てよりも内容が分かりやすい静止画動画の方が反応が良いとされます。そのため、まずは静止画動画から挑戦するのがおすすめです。
静止画と同様に、視認性が重要となるため、情報の入れ込み過ぎには注意しましょう。
BAD
例として、次のような動画中の画像は情報量のバランスが悪い、とされるものです。
どのような部分がBADなのか、整理してみましょう。
- 文字が小さく内容が読みづらい
- 一見して何の商品の紹介か分からない
- ポイントが絞り込まれていないため広告の意図が伝わりづらい
また、静止画広告と同様に、サイズの優先順位は正方形がもっとも高く、次いで縦型、横型の順です。ただし、縦型の動画を作る際は、動画の上下がトリミングされてしまうことにも注意しましょう。
GOOD
以下の画像は、実際に広告配信後、LINE広告のCPAが約4割低下した事例で利用された、動画クリエイティブの一部です。どのような点がGOODだったのか、見ていきましょう。
引用:Talk Head Viewの大規模リーチとLINE広告でCPA40%抑制!ミュゼのLINE活用|LINE for Business
- 訴求軸が明確で分かりやすい
- 小さな画面の中でも目に止まる
- 冒頭3秒を利用者に見てもらえる(3秒到達率が高い)
- シンプルで情報量が多すぎない
- メッセージと画像が一致している
- 利用者の興味に合わせてクリエイティブを変更しやすい
画像(静止画)広告ですでに反応の良いクリエイティブがあれば、それを元に静止画動画を作成することで、制作コストを抑えられます。
また、3秒到達率が高い動画広告は、配信効果も高いです。そこで冒頭シーン3秒だけを変更し、メインの内容や最後の画像を共通にすることで、より制作コストを抑えつつ、クリエイティブの数を増やし、勝ちクリエイティブを探すことができます。
動画広告のサイズなどについて詳しく知りたい方は、媒体資料を参考にしてください。
テキスト
LINE広告では、タイトルやディスクリプションなど、テキスト要素も重要となります。画像サイズは配信面で変わってしまうものの、テキストサイズはある一定の大きさを保つためです。また、タイトルの変更だけで効果が変わることもあるため、検証しておきたい要素といえます。
たとえば以下の例では、画像もLINE公式アカウントの設定も同じで、タイトルのみが異なります。配信で効果が高かったのは、向かって左側のタイトルです。
BAD
- タイトルからサービスや商品を利用したときの様子がイメージしづらい
- タイトルと広告の内容が連動していない
- タイトルの前半に伝えたい情報が含まれていない
- LINE広告のテキスト要素の一部であるLINE公式アカウントが完成していない
また、広告をクリックした後に到達するサイトやLPの構成に合わせ、適切なテキストを入れることも大切です。たとえばアンケートを依頼する広告なら、タイトルに「3問答えてポイントゲット」と入れることで、広告をタップした後の内容に違和感が無いようにできます。
反対に興味を引くようなタイトルであっても、遷移先次第では離脱される可能性もあります。たとえばタイトルに「今なら50%オフ!公式からチェック」とあったとしても、遷移先が公式サイトではない場合、違和感を持たれてしまうからです。
合わせて注意したいのが、LINE公式アカウントの設定です。LINE公式アカウントの名前やID、プロフィールアイコンは、LINE広告の要素の一部として表示されます。アカウント名を設定したり、プロフィールアイコンを自社のマークに変えたり、信用される内容になるようにあらかじめ変更することをおすすめします。
GOOD
上記の画像のタイトルは「自分ならどっちを選ぶかな」と、自分ならどうするか考えてもらうことで、プレイしたときの様子を想起させてくれます。タイトルやディスクリプションを決めるときは、自分の立場でサービスや商品を利用したときの様子を想起する内容にすることが大切です。
- 年齢を入れて「自分と同じ年代!」と思ってもらう
- 栄養成分の数字を入れて「自分にも効果がありそう!」と思ってもらう
- エリアを入れて「自分も行けそう!」と思ってもらう
- セリフで「えっ!これだけ?」など興味を引く内容から始める
訴求
LINE広告の配信面はいくつかありますが、そのうちLINEニュースへ配信されることがもっとも多く、全体の半数以上を占めます。ニュースを見に来る人にとっては、何か面白いことはないか、気になる情報は載っていないかなど、情報を得ることが目的です。
つまり、クリエイティブを作る際は、訴求軸の中でも、知って得になる情報に関するものを中心にすることが重要となります。たとえば特典や割引キャンペーンに関する訴求を軸とすることで、数字で納得度や分かりやすさも高められます。
見直し方のポイント
- 情報を得たい人向けのクリエイティブか見直そう
- 知って得になる情報が発信できているか見直そう
- 納得度や分かりやすさが高いか見直そう
クリエイティブ差し替え基準を明確に持つ
ここまで解説したクリエイティブの効果をより高めるには、差し替え基準を明確にすることが大切です。たとえばCTR(クリック率)が下がりだしたら変える、CV数が減少したら変える、といった基準が挙げられます。
1日目でCTRが悪いものは、その後もあまり配信数が延びない傾向にあります。1日は様子をみて、3,000~4,000インプレッションを目安に、クリエイティブの差し替えを行います。
ただし、基準の内容は、広告配信の目的によって異なるため、課題に合わせて設定していきましょう。たとえば、資料請求など特定のフォームへ到達してもらうことが目的であれば、フォーム来訪率を指標にするのも手です。
見直し方のポイント
- クリエイティブの差し替え基準を決める
- すでに基準を決めている場合は、違う基準の方が合う可能性も検討
- 配信の目的や課題を見直し
設定・運用方法を変えて効果が改善した事例
ここからは、LINE広告の設定・運用方法を変えたことで、効果の改善につながった事例を紹介します。
勝ちパターン発見で新規定期購入者が2倍、売上5倍に増加
出典:「人物より商品、静止画より動画」。エーザイがLINE広告で重視した他社との差別化ポイントとは|LINE for Business
この事例では、LINE広告の配信当初は、上記画像の左側のクリエイティブを使用していました。その後、リアルな声や購入ストーリーをクリエイティブに反映させ、より利用者に反応してもらいやすい、右側のクリエイティブに改善していくことで、他社との差別化に成功しました。
当初のクリエイティブでは、商品との違いや特徴が端的に表示されていなかったため、他社商品との差別化が難しいという問題点がありました。そこでよりダイレクトに、悩みに対する訴求をコピーで表現しています。
またクリエイティブの制作を手掛けるスタッフが、クリエイティブの改善に必要な分析をしやすい環境を整えました。たとえば、自社のファンミーティングに参加してもらうなど、生の声をヒアリングできる機会を設けています。
さらに、静止画広告で勝ちパターンが見えてきたところで、同社では動画広告をさまざまな広告フォーマットで配信し、配信面を最大限に活用しています。その結果、この事例では画面全体を活用するバーティカルサイズの動画への反応がもっともよく、目標としていたCPAの達成と、定期購入を新たに契約した人数を月当たり2倍以上に伸ばしました。
参考:「人物より商品、静止画より動画」。エーザイがLINE広告で重視した他社との差別化ポイントとは|LINE for Business
事例から分かる見直しポイント
改善を行うにあたり、広告効果を1週間かけて検証したことも、改善を成功に繋げた理由の1つです。LINE広告はリーチできる人数も多いため、反応が良い場合は結果が顕著に現れます。しかし、反応が1日ですぐに出るとは限らないため、クリエイティブや設定の変更後は、効果検証に1週間ほどかけ、CPAなど数値の動きを見ることも大切です。効果が良いクリエイティブを選りすぐり、動画広告など他の広告フォーマットに配信面を広げていくのは、拡大アプローチのお手本といえるでしょう。
LINE広告とコンテンツでコミュニケーションを増やしCPAが257%改善
引用:CPAが257%改善!LINE広告とチャットボット活用によるナーチャリング施策|LINE for Business
メンズスキンケアブランドを扱うバルクオムでは、潜在ユーザーに「肌診断サービス」を提供することで、まずはLINE公式アカウントの友だち登録を促し、ユーザー1人当たりのCPAを257%改善しました。
バルクオムではそれまでもLINE広告にインフォード広告を出稿していたものの、なかなか成果が上がらないという問題点がありました。
そこで、LINE公式アカウントにてチャットボットを活用した男性向けの肌診断サービスを開始し、友だち登録を促進する広告メニューのCPFを利用して、同サービスを強く訴求する広告に切り替えました。
また、広告のクリエイティブも、より「利用者の生の声」や「スキンケア商品を自撮りした写真」を使うことで、潜在的な利用者の反応を高めていったそうです。利用者にとって価値のあるコンテンツへのきっかけをLINE広告の軸にすることで、さらなるパフォーマンス向上につながったといえます。
参考:CPAが257%改善!LINE広告とチャットボット活用によるナーチャリング施策|LINE for Business
事例から分かる見直しポイント
この事例では、チャットボットの開発会社に会話広告の依頼を行うことにより、大きな成果を上げています。自社のみでは施策実施が難しい場合は、他の会社を活用することも選択肢として検討してみましょう。
動画広告にキーメッセージを追加することでブランドリフトが約2倍になった事例
引用:クリエイティブの改善でブランドリフト効果が約2倍に!Visaの「LINE Expand AD」活用のポイントとは?|LINE for Business
この事例では、1回目の動画広告配信を受け、動画再生開始直後に2秒ほどもっとも重要なメッセージを追加したことで、動画視聴者のサービス認知度が2倍に改善されました。
1回目の動画広告では、もともと配信していたテレビCMを活用しています。しかし、LINE広告では、自分で好きなタイミングで広告をスキップ可能です。そのためテレビCMなら最後まで見てもらえた動画でも、LINE広告では最後まで見てもらえない可能性がありました。つまり重要なメッセージが伝わらず、サービス認知に繋がらない場合があったのです。
そこで2回目の動画広告では、静止画では文字をより見やすくしたり、動画の冒頭にメッセージを追加したり、クリエイティブの改善が行われました。また動画広告では、よりメッセージが分かりやすくなるように、動画の上下に帯とメッセージを固定で表示しています。
結果として、1回目の広告配信以上に、動画広告に触れた利用者のサービス認知度を高めることに成功しています。
事例から分かる見直しポイント
この事例では、既存のテレビCMをLINE広告に合うクリエイティブへ変更することで、成果を高めています。すでにある動画広告や静止画広告を流用する場合は、反応を見たうえで、LINE広告に合うクリエイティブへ変更していくことが成果をより高めるコツです。
参考:クリエイティブの改善でブランドリフト効果が約2倍に!Visaの「LINE Expand AD」活用のポイントとは?|LINE for Business
設定変更した場合の注意点
改善のために変更すべき設定が分かり、実行した後に守りたい2つの注意点を解説します。
設定を変更してからは、1週間は様子を見る
ターゲット設定や入札方法を変更した後、すぐに効果が現れるとは限りません。まずは1週間は様子を見て、数値にどのような変化が現れるかチェックしてみましょう。
自動最適化の場合は、設定を変更すると、再学習がかかるため、いじりすぎない
自動最適化のために必要なCV40件を達成したとしても、設定のうち「ターゲティング」と「入札額」の変更を行うと、再学習が必要となります。つまり、新しい設定に合わせて、もう一度40CVが必要となるのです。
まずはクリエイティブの変更と検証を優先し、それでも効果が得られなければ、設定変更を行いましょう。ターゲティングの設定をあまりにも行わないと、配信数自体が減ってしまい、自動最適化にも影響をおよぼすからです。
運用内容を変更しても効果改善が見られない場合
設定を変更したり、クリエイティブの差し替えを行ったり、内容を改善しても効果が見られないこともあります。そんな時に試したい方法2つを紹介します。
クリエイティブのコミュニケーションを大きく変えてみる
クリエイティブのコミュニケーションを変えるとは、「広告を見た人」にアピールする訴求軸を、ターゲティングに合わせて変えるということです。
たとえば、保湿化粧品の値段について訴求した広告を見た人が「他の会社より安い!」と感じ、広告をクリックしたとします。クリックのきっかけは、頭の中で競合と比較して、その「違い」を感じたことです。
一方で、化粧品に対し「実績」を重視する人にとって、値段や安さが魅力的に見えないこともあります。そこで「他の会社と比べても売れている!」ことを訴求軸にすることで、同じ商品でも違うコミュニケーションのクリエイティブが生まれ、ターゲティングした相手がCVに至る可能性を高めることができます。
動画広告を配信してみる
これまで画像(静止画)広告のみを扱ってきた企業であれば、動画広告の配信に挑戦してみましょう。画像に比べて制作コストは高くなるものの、動きで利用者の注目を集め、さらに画像より多くの情報を伝えることができます。
また、LINE広告では動画と静止画の配信面が異なるため、リーチできる機会も増えます。より効果のあるクリエイティブは動画と静止画のどちらなのか、判断する材料にもなります。
しかし、ノウハウがなく、なかなか動画広告の制作が難しいというケースもあるでしょう。それでも挑戦する価値があるのは、LINE広告では凝ったクリエイティブではなくても、十分な効果を得られる可能性があるためです。
まずは無料のアプリやビデオ制作ツールを活用してみましょう。背景の色だけが切り替わる動画や、静止画が切り替わるスライドショーなら、低コストでも制作可能です。動画広告を利用したことで、日販平均と平均CTRが2倍に上昇した例もあります。
まとめ
多くの利用者に広告を見てもらえる可能性がある一方、LINE広告は無作為に配信すると、CV見込みの低いターゲットに配信されてしまいがちです。配信を成功させるためにも、勝ちパターンをできるだけ早く見つけましょう。
まずは今回紹介したLINE広告の運用で確認してほしい、5つのポイントを管理画面から見直してみてください。