営業目標を達成するための営業マネジメントとは・活用すべきツールを解説

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「新たに営業のマネージャーになったが、これまでマネジメントをしたことないので何をしたらいいのか分からない」

このようなお悩みを抱える新人の営業マネージャーの方は多いのではないでしょうか。

営業マネジメントとは、営業チームの目標達成のために、個々のプレーヤーがパフォーマンスを最大限発揮するように支援することです。それによりチームの成果を達成することが、マネージャーに課された役割です。

部下に目標達成させるマネジメントのコツ

本記事では、営業のマネジメントとは何をすればいいのか、そのために必要なスキル、またマネジメントに役立つツールについて詳しく解説致します。

本記事を最後までお読みいただくことで、営業のマネジメントの目的やマネジメントスキルの身につけ方について理解し、営業チームの目標達成に向けて行動できるようになります。


営業マネジメントとは

営業マネジメントとは、自身の営業チームが営業目標を達成できるように、多角的に施策を講じてメンバーのパフォーマンスを引き出すことを指します。

具体的には、目標達成への明確なマイルストーン策定や、成果の可視化、クロージング(顧客との契約締結)までのプロセス管理など、様々なものが挙げられます。

これまでメンバーだった時には、いかに自分の目標を達成するかが求められてきましたが、マネージャーになればチームの目標達成が求められるようになります。

またプレイングマネージャーとして営業の前線に立つ方も少なくないと思いますが、そうした場合にはチームの目標達成と個人の目標達成の双方が求められます。

しかしチームの目標達成が一番達成すべき目標であり、マネージャーが営業するかどうかは手段の一つとして捉えるべきでしょう。


営業マネジメントの具体的な内容

ここからは、営業マネジメントの具体的な内容を確認していきましょう。

  • 営業戦略の策定
  • 営業計画の策定
  • 営業KPIの設定
  • 行動管理
  • パイプライン管理
  • メンバーのモチベーション管理

営業戦略の策定

営業戦略とは「業績向上につながる中長期的な営業活動の方針・計画」のことを指します。

まず企業の将来的に目指す姿を表したビジョンがあり、それに基づいて経営戦略が立てられます。
そこからさらにブレイクダウンして、営業戦略を立てていきます。

営業戦略を立てるためには、以下のステップを踏んで行くのが良いでしょう。

  1. 市場環境の把握
  2. 自社の営業状況の分析(定量分析・定性分析)
  3. 営業課題の明確化
  4. 自社の強みを最大化する戦略の立案

優れた営業戦略を立てるためには、「選択と集中」が求められます。

上記のステップで、自社の強みとなる事業分野を明確化し、どの分野に資源を集中的に投下するのかを決め、どのように営業していくかの戦略を立てることが重要です。

営業戦略の立て方については、以下の記事でも詳しく解説しています。

参考:営業戦略とは?売上目標を最大化する戦略の立て方と活用すべきフレームワーク

営業計画の策定

営業戦略を立てたら、その戦略をどう実行していくかの営業計画を立てる必要があります。

似た用語に営業戦術がありますが、これらを整理すると以下のようになります。

  • 営業戦略:中長期的な営業活動の方針・計画
  • 営業戦術:営業戦略を実現するための具体的な施策
  • 営業計画:営業戦術の実行計画

営業計画が無ければ、メンバーは行き当たりばったりに行動するしかなく、マネージャーもメンバーが適切にアクションを取っているか判断することができません。

また営業計画通りに実行したのか、あるいは営業計画自体に問題がなかったのかを確認することで、営業結果の良し悪しの判断をする際の判断軸にすることができます。

更に営業計画を立てることで、各自の行動が可視化され、その分析をしてチーム内で共有することで、再現性のある営業ができるようになります。

このような理由から、営業計画を立てることは営業マネジメントには欠かせません。

営業計画の項目

営業目標を達成するためには、いずれのケースでも以下の項目は営業計画に必要になるでしょう。

項目内容
ミッション営業を行う上で何を重要視するのか、目指すべき姿
ターゲット営業するターゲットを明確化する
チーム体制どのようなチーム体制で営業活動を行うのか
予算営業活動に必要な予算の洗い出し
ツール営業活動に必要になるツールの洗い出し
目標(KGI・KPI)売上などの最終目標(KGI)
営業目標を達成するための指標(KPI)
アクションプラン具体的な行動計画

それぞれの詳細については、以下記事にて詳しく解説しています。
参考:営業目標を確実に達成する営業計画の立て方・書き方・よくある失敗例

営業計画の立て方

上記の営業計画を立てるためには、以下のステップに沿って進めていくと良いでしょう。

  • ステップ1.事前準備をする
  • ステップ2.目標数値を算出する
  • ステップ3.プロセスごとの転換率を算出する
  • ステップ4.注力すべきプロセスを特定する
  • ステップ5.プロセスごとの目標値・アクションプランを設定する
  • ステップ6.予算を設定する

営業計画は、達成したい営業目標から逆算して立てていくことが重要です。

こちらについても、以下の記事で詳しく解説しております。
参考:営業目標を確実に達成する営業計画の立て方・書き方・よくある失敗例

営業KPIの設定

営業計画の項目の一つに営業KPIを挙げましたが、営業KPIの設定は重要なので改めて解説致します。

そもそもKPI(重要業績評価指標)とは、最終的なゴールを達成するために最も重要なプロセス(CSF)の、具体的な目標指標のことを指します。

KPI

営業の最終的なゴールとしては、売上や利益であるのが一般的でしょう。

この売上・利益を達成するために、例えば提案数や成約率成約率といった中間目標を設定することで、個々人の目指すべき目標と指標がより明確になります。

そのためにどのような必要なアクションが必要になるかも考えやすくなります。

またKPIを設定し、その進捗状況を確認することで、現状に問題があるのか、あるのであればどのように対策をするのかといったPDCAサイクルを回すことができるようになります。

営業KPIの設定方法

KPI設定方法

営業KPIは上図の6つのステップに沿って設定すると良いでしょう。

誤解されがちですが、KPIは最終的なゴールを達成するために最も重要なプロセス(CSF)の目標指標であり、一般的にイメージされる指標管理とは少し異なっています。

あれもこれもではなく、どのプロセスが最も効果的なのかを見定めて、そこに絞ってアプローチすることがKGI・KPIの肝です。

営業KPIについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
参考:営業目標達成に直結する営業KPIの設定方法や管理のポイントを紹介

行動管理

設定した営業戦術・営業計画に沿ってメンバーは営業をしていきますが、そのメンバーの行動(アクション)の分析を行い、改善の支援を行うのが行動管理です。

個別の行動の一つ一つを把握・管理する、いわゆるマイクロマネジメントではなく、アクションに対する結果の分析とそこからの改善を行い、PDCAサイクルを回すことが目的です。

例えば各自の提案数を比較したときにメンバーによって差があった場合に、分析により提案書の作成時間にバラつきがあると分かったとします。

その時に、作業の早いメンバーの手順をチーム内に共有して手順を平準化したり、あるいはツールを導入するなどしてフローの見直しを図ります。

こうした行動の把握・分析を、手動で日々定量的に行うのは工数の観点で現実的ではありません。

そのためSFAやCRMといったツールを活用して、自動化・効率化することが重要です。
ツールについては次章「営業マネジメントを支援するツール」にて解説します。

パイプライン管理

パイプライン管理は、営業活動のプロセスを細分化し、それぞれのプロセスを管理することで全体の成果向上を図る手法です。

例えば以下はBtoB営業(法人営業)における営業プロセスを図にしたものです。

全体プロセス

引用:【BtoB営業(法人営業)】BtoC営業との違い・方法・必要スキル

このように細分化することで、営業活動のどの部分に課題があり改善すべきかが判断できるようになります。

先述の営業計画・営業KPIの設定時に、この営業プロセスの細分化を行います。

メンバーのモチベーション管理

営業成績を上げるにはメンバーのモチベーションを維持することも大変重要です。

特に、KPIの未達やクレームが重なったタイミングはモチベーションが低下しやすく、業務の進め方が鈍化するばかりか、顧客からの印象も損ない悪循環が生まれます。

そのため、こまめなコミュニケーションを取りながら、チームの士気を高めるのもマネジメントの一環といえるでしょう。

営業に限らず、一般的にモチベーションを高めるためには、以下の3つの欲求を満たす必要があります。

  • 自律性への欲求・・・「自分自身で物事を決めたい」という欲求
  • 有能感への欲求・・・「自分で仕事をこなせるようになりたい」という欲求
  • 関係性への欲求・・・「他者と良好な関係を築きたい」という欲求

参考:部下のやる気を上げる効果的なモチベーションマネジメント・低下の原因

これらを満たすためには、メンバーとのコミュニケーションを通じてメンバーの抱える課題を把握し、それをどう解決していくかを一緒に考えていかなければなりません。

モチベーション管理には1on1ミーティングが有効

ここで有効になる手法が1on1ミーティングです。

一対一のコミュニケーションを通じて信頼関係が構築でき、またメンバーの課題を引き出すことができます。
またただ聴くだけでなく、ティーチングやコーチングを通じてメンバーの行動を変えることができます。

特に新型コロナウイルスの影響でテレワークが広まり、コミュニケーションの機会が減っている現代では、その有効性が更に増しています。

参考:部下の会話を引き出す1on1ミーティングのやり方・進め方・質問例


営業マネジメントを支援するツール

ここからは、営業マネジメントを支援するツールを3つ解説します。

SFA

SFA(営業支援)

SFAはSales Force Automationの略称で、和訳すると営業管理支援システムとなります。

営業活動の支援に特化したツールとなっており、顧客情報の一元管理はもちろん、案件ごとの進捗を蓄積して、チーム内でシェアすることが可能です。

そして、営業担当の行動(訪問・商談の回数など)記録や、スケジュールの管理機能も保有していることから、マネジメントにおいては必須といっても過言ではないでしょう。

例えば、『Senses』はSFAツールの代表的な例です。

  • メールやカレンダーなどの顧客とのやり取りや行動データを自動的に蓄積
  • 案件に関する進捗をカード形式で直感的に確認

など、現場の営業マンでも簡単に使えるので、社内に定着しやすいのが特徴です。

またマーケティング施策に役立つMAツールと、顧客管理が行えるCRMツールを組み合わせれば、営業(マーケティング)の効果を最大化できます。

したがって導入を検討する際は、3つのツールの相性も考慮しながら選定した方が良いでしょう。

単体のツールもありますし、同一サービス、あるいはサービス群でこれらの3つの機能を統合的に提供しているサービスもあります。

参考:営業管理の効率を上げるSFAとは?導入メリットや事例、おすすめツール5選を紹介

CRM(顧客関係管理)

CRMとは、Customer Relationship Managementの略称で、和訳すると顧客関係管理となります。

顧客属性や行動といった情報を一元管理して、顧客との良好な関係性の維持をサポートするツールです。

たとえば、セグメントごとに内容を変えたメールの一括配信、問合せ履歴の整理などは特に有用性が高く、アンケート作成機能は既存顧客のニーズを明確に捉えられるでしょう。

さらに、製品によっては顧客の購買実績から参加見込みの高い層を抽出して、イベントの招待リストを作ることもできます。

参考:SFAとCRMの違いは?使い分け・連携・活用方法のポイントを徹底解説

MA(マーケティングオートメーション)

MA(マーケティングオートメーション)ツールは、新規顧客開拓からリード創出、見込み顧客のナーチャリングまでをサポートする機能を持っています。

具体的には、様々なチャネルから流入する顧客情報をピックアップし、自社のサービスと親和性の高い層をリスト化することが可能です。

また、メールマガジンのクリックや資料請求といった行動をスコアで判断できるため、より正確且つ簡単にターゲットが定められるでしょう。

加えて、特定の顧客が自社サイトの訪問やメール開封を行った際も、営業担当へアラートを送れるので、興味関心をいち早くキャッチして営業がかけられます。


営業マネジメントに必要なスキル

営業マネジメントを実践する際は、以下のスキルを身につけた方が良いでしょう。

  • 定量的に物事を見る力
  • 計画性を持って案件を進行する力
  • コミュニケーション能力

今後マネージャーとして活躍するためにも、ぜひ参考にしてください。

定量的に物事を見る力

営業マネジメントは、チーム全体のパフォーマンスを正確に把握する必要があるため、定量的に物事を見るスキルを身につけるのがおすすめです。

もちろん、「努力」「熱意」などの目に見えない要素も重要ですが、着実にパフォーマンスを向上させるなら売上や経費といった数値に基づいて判断しなければなりません。

一社員の立場ではあまり意識しない一方、マネージャーには必須の資質となることから、しっかり押さえておきましょう。

実践方法:ツールで現状を把握する

定量的な視点から管理する際は、手作業で集計を取るのではなく専門ツールを利用した方が効率的です。

たとえば、案件の進捗や訪問件数の管理、売上の予測が行えるSFAは特に有用性が高く、顧客管理に特化したCRMも組み合わせればさらに正確な分析が行えるでしょう。

都度で帳簿に残しては非常に手間がかかる上に、リアルタイムの情報がキャッチできなくなるため、様々なツールを比較して自社に合ったものを選んでみてください。

計画性を持って案件を進行する力

マネージャーには場当たり的に判断を下す能力よりも、計画性を持って案件を進行するスキルの方が求められます。

チーム全体の行動を把握しながら「この日までに実行する」という指標を与えれば、スタッフの明確な目標意識となり、次のアクションにも移行しやすくなるでしょう。

加えて、PDCAサイクルにおける最初のステップでもあるため、チーム一丸となってパフォーマンスの検証と改善を行う上では特に重要です。

実践方法:メンバーのスケジュールを把握する

計画性を持ってチームを動かすには、各メンバーのスケジュールも把握しておいた方が良いでしょう。

1日ごとに限らず、中長期的な見通しも立てておくことでスムーズな案件進行に繋がり、欠員による突発的なリソースの再配置も容易になります。

ただし、昔ながらのホワイトボードに書き込むスタイルでは効率的とはいえないため、スケジュール管理に特化したツールを導入するのがおすすめです。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力は顧客が抱えるニーズを聞き取り、自社のサービスを提案する上で大変重要なスキルです。

実際のところマネージャーが直接商談を行うことは多くありませんが、スタッフへ的確にアドバイスするためには、やはり身につけておいた方が良いでしょう。

また、チーム全体のモチベーションを保ち、案件の進捗をきちんと把握する上でも必要な資質となります。

日々の会話の中で、営業に関するちょっとした悩みや課題が見つかるケースもあるので、積極的に声をかけてみてください。

実践方法:相手を認める姿勢をもつ(傾聴する)

マネージャー職は、自身の理念や指標を基にスタッフを導かなければなりませんが、同時に相手を認める姿勢も大切です。

たとえば、ミーティングの場で意見交換を行った際、業務の進め方や判断を頭ごなしに否定しては、モチベーションの低下を招いてしまうでしょう。

さらに、「意見を聞いてもらえない」という印象が根付いてしまうと案件の管理にも支障がでるため、まずはきちんと相手の言葉に耳を傾けるようにしてください。


まとめ

営業マネジメントとは、営業チームの売上目標を達成するために、個々人のパフォーマンスを最大限に引き出すことを指します。

営業マネジメントの内容として以下が挙げられます。

  • 営業戦略の策定
  • 営業計画の策定
  • 営業KPIの設定
  • 行動管理
  • パイプライン管理
  • メンバーのモチベーション管理

これらを定性的・定量的に分析し、改善していくことが求められます。

またその定量的な分析や、メンバーの行動をタイムリーに正しく把握するためには、ツールの活用が必要不可欠です。

主なツールとして、SFA・CRM・MAが挙げられます。
なかでもSFAが営業に特化したツールになっているので、まずはSFAの活用から始めるのがおすすめです。

現在営業マネージャー職に就いている方は、本記事で解説した内容を参考に、ぜひ普段のマネジメントに活かしていただければと思います。

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