「アカウントベースドマーケティング」という用語を聞いたことはあるけれど、あまり理解できていないマーケティング担当の方も多いのではないでしょうか?
この記事では、アカウントベースドマーケティング(ABM)の定義やメリットを解説します。
定義から実践方法まで詳しく解説しているので、この記事を読めばアカウントベースドマーケティングの全体像を把握できます。マーケティング担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
アカウントベースドマーケティング(ABM)とは?
アカウントベースドマーケティングとは、優良な企業(アカウント)をターゲットとして絞り込み、その企業にあわせた戦略的なアプローチを展開するBtoBマーケティングの手法です。
従来のマーケティングのようにヒト(担当者)単位ではなく、企業(アカウント)単位でマーケティングをすることで、効率的に商談を進められます。
参考:BtoBマーケティングの基本と効果的な3つの手法を解説
ターゲット企業を明確に設定する戦略
アカウントベースドマーケティングは、ターゲット企業(アカウント)を明確に定義し、その企業に存在する質の高いリード(見込み顧客)に絞る方が成果につながりやすいという考え方です。
大規模な受注につながる商談を生み出すためには、リードの量より質が大事です。Webアクセスやセミナー参加などの顧客履歴を個人単位で眺めていても、受注につながる商談を生み出すことは困難です。
アカウントベースドマーケティングでは、自社のターゲットとなる業種・企業にのみ広告を配信し、顧客の役職ランクに基づいてWebサイトのコンテンツを出し分けるなど、ターゲットにあわせた戦略的なアプローチをする必要があります。
アカウントベースドマーケティングの4つのメリット
アカウントベースドマーケティングの4つのメリットをご紹介します。
メリット1:効率のよいマーケティング活動ができる
「売上の8割は2割の上位顧客によって生み出される(パレートの法則)」と言われています。アカウントベースドマーケティングでは、ターゲットを絞ることで、効率の良いマーケティング活動ができます。
メリット2:自社リソースの無駄を削減できる
アカウントベースドマーケティングでは、ターゲットが明確であるため、自社のリソースを効果的に活用することが可能です。
また幅広いリードに対してアプローチするマーケティングと比べて、無駄を削減することができます。
メリット3:リードの追跡と測定がしやすい
アカウントベースドマーケティングでは顧客をターゲットとして絞っているため、広告・イベントなどのキャンペーンの効果測定が容易になります。
明確な結論からPDCAを回すことで、より精度の高いマーケティング施策を実施できます。
メリット4:営業との連携がスムーズになる
アカウントベースドマーケティングでは、マーケターと営業が同じ顧客志向に基づいたマーケティングを展開するため、互いに密接に連携して効果的なアプローチをとることが可能です。
アカウントベースドマーケティングの活用事例
営業のフォロー率100%を実現した事例(精密機器メーカーF社)
精密機器メーカーのマーケティング部門では、毎月有望見込み客リストを抽出し、10万件を超える見込み客データを作成していました。しかしリストの質が低く、営業にそのリストを使ってもらえませんでした。
そこで、アカウントベースドマーケティングを導入し、営業が重要な顧客を選出、ターゲットアカウントを設定しました。営業がフォローしたい企業をリストとして渡すことが可能になり、マーケティング部門からの案件の割合が増加、営業はリスト内の全顧客にアプローチできるようになりました。
参考:導入例 精密機器メーカーF社|Marketing Box
営業とマーケティングの連携が強化された事例(NEC)
NECでは、デジタルマーケティング・インサイドセールス・営業の3部門が保有する顧客情報を共有しています。
デジタルマーケティング部門が創出した有望見込み客のリストは、インサイドセールスがさらに精査した後、営業に渡されます。これにより、営業は確度の高い案件のみを引き継げるので、より精度の高い商談をスタートできます。
また、マーケティングと営業とで実際に営業が訪問できている企業・部門と、そうでない企業について整理し、新たな顧客との関係も構築しています。
アカウントベースドマーケティングを実施する際の5つの手順
手順1.対象アカウントを選定する
アカウントベースドマーケティングを行う際、最初に対象となるアカウント(企業)を選定する必要があります。
過去に取引のあったアカウントや、すでに作成している営業リストなど、元となるデータの中から「自社の売上を最大化してくれて、かつ継続的な取引につながる企業」をピックアップしていきましょう。
手順2.重要な役割を担っている人物を特定する
ターゲットとなるアカウント企業内の重要な役割を担う人物(意思決定者など)を特定しましょう。
その人物との接点がない場合は、営業チームで調査したり、社外の専門業者から情報を購入するなどして、必ず特定しておくようにしましょう。
手順3.メッセージ内容と届け方を決める
価値のあるコンテンツのメッセージを提供することで、意思決定者に関心を持ってもらえる可能性が高まります。
ターゲットとなる企業が直面している重要な課題を解決するコンテンツを選び、メッセージを作成、特定したターゲット宛に、電話・メール・手紙などの手段で届けましょう。
手順4.キャンペーンを実施する
企業の意思決定者にコンテンツやメッセージを見てもらうために、Webのパーソナライゼーションソリューション機能や、GoogleやFacebookなどのバナー広告のパーソナライズ機能を使った施策を実行します。
営業チームと緊密に連携し、適切なタイミング、一貫したメッセージでキャンペーンを行ってください。
手順5.PDCAサイクルを回す
キャンペーンの終了後は、効果測定し、PDCAサイクルを回しましょう。アカウントベースドマーケティングで重要なのは、一連のキャンペーンを時間をかけて実施することで、価値の高い顧客にアプローチしていくことです。常に現状を把握するよう心がけてください。
「価値の高い顧客へのアプローチ」「対象企業との関係性は強化」などを中心に評価・測定を行い、その結果を元にPDCAサイクルを回し続け、時間をかけてマーケティング施策を改善し続けていくことが重要です。
また、以下のようにアカウントベースドマーケティングの実施を助けてくれるツールも存在するので、こちらも活用していきましょう。
Marketo
企業のABMに不可欠なものすべてを1つの統合プラットフォームで一元管理できるツールです。アカウントスコアに基づいてセグメント化したり、自社のビジネスにとって重要な基準を用いてリストアップしてくれます。
役職や購買ステージなどに基づき、もっとも有望な見込み客を割り出しターゲットにすることで、成約までのスピードを早めます。
参考:【無料eBook】Adobe Marketo Engageが実現する、優れた購買体験
ABMをサポートするツールについて、下記記事にてまとめていますのでご参考ください。
マーケティングオートメーション15種比較!利用のメリットと失敗しない選び方とは?
まとめ
アカウントベースドマーケティングとは何かについて中心にご説明しました。
本来「マーケティング部門」と「営業」は密接に関係していくべきなのですが、それぞれが独立して成長している企業は多く存在します。アカウントベースドマーケティングを取り入れ、部門間の連携を強めることで大きな成果を上げられるのではないでしょうか。
マーケティングオートメーション(マーケティングオートメーションとは?導入前に押さえる3つのポイントを解説)やSFA(SFAツール徹底比較9選!あなたの会社に最適な営業支援システムとは?)などの営業管理ツールを活用したアカウントベースドマーケティングを実施するなど、新たなマーケティング施策を計画・実行することで売上を伸ばしていきましょう。
参考にしたサイト
マーケティングイノベーション|今話題のアカウントベースドマーケティング(ABM)とは?
ONEMarketing|3分で分かるアカウントベースドマーケティング(ABM)の基礎
HubSpot|アカウント ベースド マーケティング徹底ガイド:6つの重要なステップ(とインバウンド マーケティング)
ビジネスIT|アカウント・ベースド・マーケティング(ABM)とはいったい何か?
マルケト|ABM(アカウントベースドマーケティング)とは何か? 採用すべき戦略か?
Innova|「ABM」とは? BtoBマーケターの福音になるか