
オムニチャネルは、実店舗やインターネット、SNSなど様々なチャネルを統合し、顧客に購買活動を促す手法です。
マーケティング用語としてよく聞く言葉ですが、理解が曖昧な方も多いのではないでしょうか。
今回は、
・オムニチャネルの概要
・ほかのビジネス用語との違い
・オムニチャネル化すべき企業の特徴
・実際にオムニチャネル化を行うための手順
についてご紹介します。
また、本記事を訪れた方におすすめの資料をご紹介いたします。2万2,000社に及ぶ企業のデータから分析した市場トレンドレポートが公開されています。本記事とあわせてマーケティング戦略策定にお役立てください。
目次
オムニチャネルとは
オムニチャネルとは、
・実店舗だけでなく、ECサイトなどのオンラインストアをはじめとするさまざまな販売チャネルや流通チャネルを統合すること
・そうした統合販売チャネルの構築によって、ユーザーがどの販売チャネルからも同じように商品を購入できるようにすること
を指します。
オムニチャネルに対応すれば、消費者はテレビ・雑誌・SNS・実店舗・ECサイトなどどこからでも商品の情報を調べられ、場所や時間の制約なしに購入が可能になります。
マルチチャネル、O2O、OMOとの違い
オムニチャネルとよく混合されがちなのが「マルチチャネル」と、「O2O」、「OMO」です。
それぞれのビジネス用語の違いについては以下の通りです。
マルチチャネル…実店舗やECサイトなど複数のチャネルを展開していること。
オムニチャネルとの違い→統合しているかしていないか
O2O…オンラインからオフラインへと購買活動を促すこと。
違い…消費者を誘導する方向が決まっているかいないか
OMO…オンラインとオフラインを融合すること。
違い…主軸が顧客の購買活動か、購買活動を含めたあらゆる体験か
ビジネス言語の種類 | 特徴 | オムニチャネルとの違い |
---|---|---|
マルチチャネル | 実店舗やECサイトなど複数のチャネルを展開していること。 | それぞれのチャネルをせず、ただ展開するだけ。 |
O2O | オンラインからオフラインへと購買活動を促すこと。 | 消費者を誘導する方向が決まっている。 |
OMO | オンラインとオフラインを融合すること。 | 主軸は購買活動を含めたあらゆる体験。 |
マルチチャネルは複数のチャネルを用意し、販売機会を増やす取り組みです。しかし、オムニチャネルと違って、それぞれのチャネルを展開しただけで、統合することは内容に含まれていません。
O2O(Online to Offline)は、オンライン(ネット上)からオフライン(実店舗)に行動を促す活動のことですが、オムニチャネルと違う点は、コンバージョンポイント(CV)がオフラインに決まっている点です。
また、OMO(Online Merges with Offline)は、顧客がチャネルの違いを意識せずにサービスを受けられるよう、オンライン・オフラインを統合することを言います。オムニチャネルとの違いは、チャネルを跨いだ顧客体験の向上を目的としている点です。
参考:OMO戦略とは?メリット・デメリットと成功のための3つのポイント
オムニチャネルを導入する3つのメリット
さらにオムニチャネルの導入は、顧客だけではなく、企業側にとっても大きなメリットがあります。
メリット1 顧客ごとに最適なマーケティングを行える
さまざまなチャネルの情報をひとつに統合すると、それぞれの顧客の購入履歴等から趣味や嗜好をより深く分析できます。そのデータをもとに、顧客ひとりひとりに最適なマーケティングを行えば、低コストで売上を伸ばすことが可能です。
メリット2 商品の無駄を減らせる
全てのチャネルにおける商品情報をひとつにまとめると、品切れの商品があっても他店舗やEC用の物流センターなどからすぐに顧客へ商品を届けることができます。これによって無駄な商品の発注を減らせて、せっかくの販売機会を見逃さずに済みます。
メリット3 顧客にファンになってもらえる
全チャネルで集めた顧客情報をまとめ、商品情報を統合すると、顧客にとっての最適なサービスの提供が可能です。それによって顧客の利便性が上がり、同時に顧客の満足度が上がりやすくなります。そういう視点からも会社や商品のファンを増やすことで、長期的に継続的な購入も期待できます。
参考:ECサイトのアプリ化で店頭の売上が27%UP アプリ導入成功事例>>無料
オムニチャネルに合う企業、合わない企業
オムニチャネルの特性から、オムニチャネル化には向き不向きがあります。
〇:オムニチャネル化に向いている企業
・複数の店舗を持ち、ECサイトも運用している企業
・たくさんの顧客が購入する商品を扱っている企業
△:オムニチャネル化に向いていない企業
・店舗数が少なく、ECサイトを持っていない企業
・ニッチで、商品の購入後、次の購入までの期間が長い商品を扱う企業
いくらオムニチャネルをやりたくてもWeb担当者もいない状態でECサイトを立ち上げ、オムニチャネルを始めようとするのは、少し考え直した方が良いかもしれません。
オムニチャネル化するかどうかは、自社のリソースとしっかり相談をしましょう。
事例:約1万9000店舗、220万品目がいつでもどこでも購入可能に|セブン&アイホールディングス
オムニチャネル化に成功している企業に、セブン&アイホールディングス(以下セブン&アイ)があります。
引用:さらに進化する「リアルとネットの融合」 (2013年10月) | セブン&アイの挑戦 | 会社情報 | セブン&アイ・ホールディングス
Omni7は、セブン&アイが運営しているオムニチャネルサービスです。オンライン上では、顧客がひとつの入口からセブン&アイが持っている全ての店舗と商品にアクセスできるように、各店舗のネットショッピングIDの一元化をしています。
Omni7という1つのネットショッピングサイトに登録するだけでセブン-イレブンの商品だけではなく、西武・そごうなどの百貨店、赤ちゃん本舗やロフトといった専門店の商品まで購入することができます。
さらに購入するだけではなく、ITを駆使した物流センターで梱包や配送の効率化を行い、24時間以内の到着を目指し、全国のセブン-イレブンで荷物を受け取れます。
その中でも特に今セブン‐イレブンが力を入れて進めているのが、高齢者に向けたお家への食事宅配サービスのときに販売担当者がタブレットを携行するというものです。これによってネットになじみのない高齢の方でも、操作等を販売担当者がお手伝いしながら、実店舗にはない商品を購入できるようになります。
オムニチャネルはネットを使うのが当たり前の世代の人だけのためではなく、全世代の人にとって欲しいものを購入する自由を与えることができるものです。また、若い層に向けてはアプリをリリースしてネットでの商品の購入ハードルを下げるなどして、着々とファンを増やしています。
参考:商売の光景を変える力!オムニ7の最前線(2016年5月) | セブン&アイの挑戦 | 会社情報 | セブン&アイ・ホールディングス
オムニチャネルを始めるための5つのステップ
それでは実際に、オムニチャネルを始めるためにはどうすればいいのでしょうか?
オムニチャネルが比較的新しい概念であり、施策が自社のリソースによって変化するものであるため、単純に「これをすれば大丈夫!」といったものは存在しません。
ここでは、基本的な5つのステップを紹介します。
1.在庫管理システムの強化
在庫を店舗ごとのものではなく、企業全体のものとして扱えるように単品単位で、リアルタイムに、企業全体が保有している在庫数を把握できるシステムを構築します。
参考:おすすめ同時在庫管理ECシステム8つを比較!特徴・機能・選び方のポイントも紹介
2.ロジスティックス(物流)の整備
ECの物流センター、店舗の在庫センター、各店舗とそれぞれの場所にある在庫を素早く配送できるようなシステムを構築します。
3.「売価管理システム」の追加
オムニチャネルを行う上で必要になるのが、チャネルで統一された商品と価格設定です。EC上でセールを行っているなら、実店舗でもセールを行わなければ顧客は不利益を被ったと感じ、さらにその悪印象を拡散されてしまう恐れがあります。
4.「販売チャネル」の充実化
1〜3を実践して初めて、ECや店舗内の宅配注文が実現します。このとき注意すべき点は、ただECを始めたり、店舗からスマホで注文できるようにするだけではなく、EC部門と店舗部門の意識を統一化させるなどの施策を取り、ECと店舗からスマホで注文した顧客をすべて同一の顧客として扱い、均一化されたサービスを提供するようにすることが本当の充実化といえるでしょう。
スマホ×EC、そして実店舗との相性が良いのは「アプリ」です。アプリはユーザーに対してキャンペーンやクーポンなどのお知らせ(プッシュ通知)が行えたり、店舗近くにくると自動で通知を飛ばしたりできます。最近はアプリ化するECサイトも増えてきており、売上も伸びているようです。以下資料はアプリ化したECサイトの事例がまとめられており、参考になります。無料でダウンロードできるのでぜひお手もとにおいてみてください。
参考:アプリ導入にかかる本当の費用
参考:マーケターが把握しておきたいアプリ企画〜開発まで
5.「販売チャネル」横断の実現
実店舗の店内でECの販促、ECで実店舗への流入を促すためのポイント付与など企業と顧客が一対一の関係になり、ここまで来て初めていつでも、どこでも、同じように商品を購入できるオムニチャネルのメリットを顧客に提供できます。
オムニチャネル化するならば、顧客のことを考えよう
オムニチャネルは顧客にも自社にもメリットがある施策です。しかし、これをすればOKといった体系的な施策があるわけではありません。
1.自社のリソースをしっかり把握する
2.自社の顧客と、顧客が求めているものをしっかり理解する
これら2つの前提を考慮したうえで、適切な施策を行うことがオムニチャネルを成功させるために必須となります。念頭においていただきたいのは、オムニチャネルは「顧客起点」の考え方があってこそ成り立っているという点です。
自社の利益の追求を行うのではなく、顧客の利益を追い求めた結果、顧客が自社についてきてくれるのを忘れないようにしてくださいね。
参考:エンゲージメントがウェブの20倍! ECサイトアプリ導入効果
「オムニチャネル戦略」成功のカギはアプリにあり!
全てのチャネルを統合し、顧客の体験をシームレスにする手段として、アプリ活用がおすすめです!
スマートフォンの普及率が70%を超えた今、アプリは行動の起点となる様々な機能を備えた、コミュニケーションの中核となりつつあります。
ウェブサイトと比較すると、効率に大きな差がでます。エンゲージメントの強化、CVRの向上、売り上げ拡大、顧客ロイヤリティの向上など、アプリは絶大な効果を発揮します。これらの効果を定量的に示した資料をご用意しておりますので、こちらをご一読ください。