
オムニチャネルは、現在の商品販売においてとても大切なマーケティング戦略です。実店舗だけではなく、インターネット上でも集客を行い、どこでも同じように商品を購入してもらえるようになるオムニチャネル。ターゲットユーザーの満足度も高められることからも、小売業を中心にこの戦略を取り入れる企業も多くなってきました。
今回は、
・オムニチャネルの概要
・あなたの企業がオムニチャネルを行うのに向いているかどうか
・実際にオムニチャネル化を行うための手順
についてご紹介します。
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目次
オムニチャネルとは
オムニチャネルとは、
・実店舗だけでなく、ECサイトなどのオンラインストアをはじめとするさまざまな販売チャネルや流通チャネルを統合すること
・そうした統合販売チャネルの構築によって、どの販売チャネルからも同じように商品を購入できる環境つくりをすること
を指します。
オムニチャネルに対応すれば、消費者はテレビ・雑誌・SNS・実店舗・ECサイトなどどこからでも商品の情報を調べられ、場所や時間の制約なしに購入が可能になります。さらに店舗・コンビニ・自宅に郵送などもできるようになり商品の受け取りもできる…など、利便性が格段に上がります。
オムニチャネルを導入する3つのメリット
さらにオムニチャネルの導入は、顧客だけではなく、企業側にとっても大きなメリットがあります。
メリット1 顧客ごとに最適なマーケティングを行える
さまざまなチャネルの情報をひとつに統合すると、それぞれの顧客の購入履歴等から趣味や嗜好をより深く分析できます。そのデータをもとに、顧客ひとりひとりに最適なマーケティングを行えば、低コストで売上を伸ばすことが可能です。
メリット2 商品の無駄を減らせる
全てのチャネルにおける商品情報をひとつにまとめると、品切れの商品があっても他店舗やEC用の物流センターなどからすぐに顧客へ商品を届けることができます。これによって無駄な商品の発注を減らせて、せっかくの販売機会を見逃さずに済みます。
メリット3 顧客にファンになってもらえる
全チャネルで集めた顧客情報をまとめ、商品情報を統合すると、顧客にとっての最適なサービスの提供が可能です。それによって顧客の利便性が上がり、同時に顧客の満足度が上がりやすくなります。そういう視点からも会社や商品のファンを増やすことで、長期的に継続的な購入も期待できます。
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事例:約1万9000店舗、220万品目がいつでもどこでも購入可能に|セブン&アイホールディングス
オムニチャネル化に成功している企業に、セブン&アイホールディングス(以下セブン&アイ)があります。
引用:さらに進化する「リアルとネットの融合」 (2013年10月) | セブン&アイの挑戦 | 会社情報 | セブン&アイ・ホールディングス
Omni7は、セブン&アイが運営しているオムニチャネルサービスです。オンライン上では、顧客がひとつの入口からセブン&アイが持っている全ての店舗と商品にアクセスできるように、各店舗のネットショッピングIDの一元化をしています。
Omni7という1つのネットショッピングサイトに登録するだけでセブン-イレブンの商品だけではなく、西武・そごうなどの百貨店、赤ちゃん本舗やロフトといった専門店の商品まで購入することができます。
さらに購入するだけではなく、ITを駆使した物流センターで梱包や配送の効率化を行い、24時間以内の到着を目指し、全国のセブン-イレブンで荷物を受け取れます。
その中でも特に今セブン‐イレブンが力を入れて進めているのが、高齢者に向けたお家への食事宅配サービスのときに販売担当者がタブレットを携行するというものです。これによってネットになじみのない高齢の方でも、操作等を販売担当者がお手伝いしながら、実店舗にはない商品を購入できるようになります。
オムニチャネルはネットを使うのが当たり前の世代の人だけのためではなく、全世代の人にとって欲しいものを購入する自由を与えることができるものです。また、若い層に向けてはアプリをリリースしてネットでの商品の購入ハードルを下げるなどして、着々とファンを増やしています。
参考:商売の光景を変える力!オムニ7の最前線(2016年5月) | セブン&アイの挑戦 | 会社情報 | セブン&アイ・ホールディングス
オムニチャネルに合う企業、合わない企業
オムニチャネルの特性から、オムニチャネル化には向き不向きがあります。
〇:オムニチャネル化に向いている企業
・複数の店舗を持ち、ECサイトも運用している企業
・たくさんの顧客が購入する商品を扱っている企業
△:オムニチャネル化に向いていない企業
・店舗数が少なく、ECサイトを持っていない企業
・ニッチで、商品の購入後、次の購入までの期間が長い商品を扱う企業
いくらオムニチャネルをやりたくてもWeb担当者もいない状態でECサイトを立ち上げ、オムニチャネルを始めようとするのは、少し考え直した方が良いかもしれません。
オムニチャネル化するかどうかは、自社のリソースとしっかり相談をしましょう。
O2Oやマルチチャネルとは、どう違うの?
オムニチャネル化をしようと思った時に、「O2O戦略」や「マルチチャネル」との違いの説明を求められる場合もあるのではないでしょうか?似たようなタイミングで使われる言葉であっても、指しているものは異なるので、きちんと違いを把握できる必要があります。
O2O(オンライン・トゥ・オフライン)とは
O2Oは、ポイントカードやアプリなどを用いて、オンラインの顧客を実店舗に来てもらうようにする施策です。O2Oはオンラインから実店舗に顧客を呼ぶ施策なので、短期的な利益につながります。
それに対してオムニチャネルは、チャネル統合を行ってさまざまなアプローチをしながら、徐々に顧客にファンになってもらうことが目的なので、長期的な施策といえます。
マルチチャネルとは
マルチチャネルとは、ECサイトだけ、店舗だけという限られた場所だけではなく、複数の場所で商品を購入できるようにする考え方です。
例えば、それまでは実店舗でしか買えなかった商品を、インターネット上やカタログで購入できる等、です。ただし実店舗とその他の購入方法が分断されていたため、正確な顧客データの管理ができないという課題がありました。
その課題を解決し、それぞれのサービスに差をつけないでスムーズに商品提供をできるようにしたのがオムニチャネルです。
簡単に、オムニチャネルに至るまでの変遷をご紹介します。
オフラインで完結するシングルチャネルから、マルチチャネルへ
店舗を訪れて店舗で購入、というオフラインで完結するシングルチャネルが、昔ながらの販売の方法です。そこから派生して、インターネット上やカタログでの注文によって商品が届くというマルチチャネルが誕生しました。
ただし、マルチチャネルはそれぞれの動きが分断されているため、顧客情報や商品情報の管理についてはバラバラでした。
オンラインとオフラインの親和性を高めるために、クロスチャネルが誕生
そこからマルチチャネルの弱点であるオンラインとオフラインの親和性を深めるために誕生したのがクロスチャネルです。これによって、オンラインで注文した商品を店舗で引き取ることができるなど、オンラインとオフラインの整合性を高められる働きを持つようになりました。
そしてクロスチャネルからさらにチャネルの違いごとの差をなくしていくために生まれたのが、オムニチャネルという概念です。いつどこで購入しても同じように商品が手元に届くという仕組みを実現させました。これによって顧客はそのとき最も都合の良い方法で商品を購入し、都合の良い方法で商品を引き取ることが可能になりました。
参考:オムニチャネルは既存顧客の囲い込みや単価上昇を狙うべき–エスキュービズム|ZDNet Japan
オムニチャネルを始めるための5つのステップ
それでは実際に、オムニチャネルを始めるためにはどうすればいいのでしょうか?
オムニチャネルが比較的新しい概念であり、施策が自社のリソースによって変化するものであるため、単純に「これをすれば大丈夫!」といったものは存在しません。
ここでは、基本的な5つのステップを紹介します。
1.在庫管理システムの強化
在庫を店舗ごとのものではなく、企業全体のものとして扱えるように単品単位で、リアルタイムに、企業全体が保有している在庫数を把握できるシステムを構築します。
2.ロジスティックス(物流)の整備
ECの物流センター、店舗の在庫センター、各店舗とそれぞれの場所にある在庫を素早く配送できるようなシステムを構築します。
3.「売価管理システム」の追加
オムニチャネルを行う上で必要になるのが、チャネルで統一された商品と価格設定です。EC上でセールを行っているなら、実店舗でもセールを行わなければ顧客は不利益を被ったと感じ、さらにその悪印象を拡散されてしまう恐れがあります。
4.「販売チャネル」の充実化
1〜3を実践して初めて、ECや店舗内の宅配注文が実現します。このとき注意すべき点は、ただECを始めたり、店舗からスマホで注文できるようにするだけではなく、EC部門と店舗部門の意識を統一化させるなどの施策を取り、ECと店舗からスマホで注文した顧客をすべて同一の顧客として扱い、均一化されたサービスを提供するようにすることが本当の充実化といえるでしょう。
スマホ×EC、そして実店舗との相性が良いのは「アプリ」です。アプリはユーザーに対してキャンペーンやクーポンなどのお知らせ(プッシュ通知)が行えたり、店舗近くにくると自動で通知を飛ばしたりできます。最近はアプリ化するECサイトも増えてきており、売上も伸びているようです。以下資料はアプリ化したECサイトの事例がまとめられており、参考になります。無料でダウンロードできるのでぜひお手もとにおいてみてください。
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5.「販売チャネル」横断の実現
実店舗の店内でECの販促、ECで実店舗への流入を促すためのポイント付与など企業と顧客が一対一の関係になり、ここまで来て初めていつでも、どこでも、同じように商品を購入できるオムニチャネルのメリットを顧客に提供できます。
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オムニチャネル化するならば、顧客のことを考えよう
オムニチャネルは顧客にも自社にもメリットがある施策です。しかし、これをすればOKといった体系的な施策があるわけではありません。
1.自社のリソースをしっかり把握する
2.自社の顧客と、顧客が求めているものをしっかり理解する
これら2つの前提を考慮したうえで、適切な施策を行うことがオムニチャネルを成功させるために必須となります。念頭においていただきたいのは、オムニチャネルは「顧客起点」の考え方があってこそ成り立っているという点です。
自社の利益の追求を行うのではなく、顧客の利益を追い求めた結果、顧客が自社についてきてくれるのを忘れないようにしてくださいね。
参考:エンゲージメントがウェブの20倍! ECサイトアプリ導入効果
「オムニチャネル戦略」成功のカギはアプリにあり!
全てのチャネルを統合し、顧客の体験をシームレスにする手段として、アプリ活用がおすすめです!
スマートフォンの普及率が70%を超えた今、アプリは行動の起点となる様々な機能を備えた、コミュニケーションの中核となりつつあります。
ウェブサイトと比較すると、効率に大きな差がでます。エンゲージメントの強化、CVRの向上、売り上げ拡大、顧客ロイヤリティの向上など、アプリは絶大な効果を発揮します。これらの効果を定量的に示した資料をご用意しておりますので、こちらをご一読ください。