Web広告の効果分析・改善は難しくない!初心者でもわかるポイントとコツ

Web広告を出稿したら、その効果をきちんと分析し改善していく必要があります。しかし、Web広告のデータをどう整理して分析し、改善するのかよくわからないという人もいるしょう。

そこで本記事ではWeb広告運用の基本知識を中心に、実際の分析作業で必要になる考え方を、広告運用を始めたばかりの担当者に向けて解説します。

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目次

分析したいWeb広告の「目的を再確認」

Web広告を運用する場合、広告の配信目的は大きく分けると以下3つに集約されます。

  • 認知拡大
  • サイト誘導
  • 購入申し込み

以下簡潔に解説します。

認知拡大

商品やサービス、自社ブランドの市場における知名度向上を目的に広告を配信する場合、一般的に認知拡大の広告キャンペーンを配信します。

例えば、You Tubeを視聴しているときに数秒間流れる動画広告、Webサイト閲覧時によく目にするバナー広告などが該当します。(SNS広告も含む)

広告に記載する文章の内容は商品やサービスを知ってもらって、興味をもってもらうことに重点をおいて作成することが多いでしょう。

サイト誘導

サイト誘導も広告の場合、認知拡大目的で配信する広告の広告文や動画内容を、すでに商品やサービスを知っている人がより詳しくしりたいと思い、思わず広告をクリックするように調整することが多いです。

実際に配信する広告の種類は認知拡大目的で配信する広告とほとんど同じことが多いでしょう。

購入・申し込み

購入や申し込みを広告の配信目的にすえる場合、「今すぐその商品が欲しくて検索しているひと」をターゲットにすると広告の費用対効果が高いため、リスティング広告に出稿することが多いです。

リスティング広告の広告文も、商品名と商品の機能、商品を手にすることで得られるユーザーの便益(ベネフィット)をメインに訴求して、購買欲求を刺激するないように調整します。


Web広告の効果分析で活用する指標・データ

広告運用の成果の分析にとりかかる前に、以下の指標の意味を知識の乏しいひとに具体的に何も見ないで説明できるかどうか一度自問してみてください。(自信があれば読み飛ばし推奨)

成果を確認するときの5つのデータ

1.インプレッション数

Web広告がWebサイトやブラウザの検索画面(リスティング広告の場合)に表示された回数

2.クリック数

Webサイトやブラウザの検索画面上に表示された広告がユーザーによってクリックされた回数

3.クリック率

クリック数÷インプレッション数×100

例)
インプレッション数10,000
クリック数120
の場合
120÷10,000×100=1.2%

4.コンバージョン数

Web広告をクリックしたユーザーが広告媒体のコンバージョンタグが埋められているページに到達した数

5.コンバージョン率

コンバージョン数をクリック数で割った数に100をかけた数

例)
クリック数120
コンバージョン数6
の場合
6÷120×100=5%

コストを確認するときの3つのデータ

1.インプレッション単価

Google公式ページの解説がわかりやすいのでご紹介します。

インプレッション単価(CPM)とは
Google ディスプレイ ネットワークでの表示回数 1,000 回あたりに対して入札する方法です。
視認範囲のインプレッション単価制(vCPM)では、広告が表示された場合にのみ料金が発生します。既存のインプレッション単価は自動的に vCPM に変換されますが、視認範囲のインプレッションの方が価値が高い可能性があるため、入札単価を更新することをおすすめします。詳しくは、視認範囲のインプレッション単価の使用方法をご覧ください。
引用:インプレッション単価(CPM)とは|Google広告ヘルプ

2.クリック単価

Google公式ページの解説がわかりやすいのでご紹介します。

個別クリック単価制について
上限クリック単価は 1 回のクリックに対して発生する料金の上限ですが、ほとんどの場合、実際の請求額はこの金額を(場合によっては大きく)下回ります。 こうした 1 回のクリックに対して請求される最終的な金額を、実際のクリック単価(実際の CPC)といいます。
引用:クリック単価とは|Google広告ヘルプ

3.コンバージョン単価(別名:顧客獲得単価、CPA)

1コンバージョンを獲得するのに要した広告費

例)
広告配信費用5万円
コンバージョン数200件
の場合
50,000÷200=250円


【認知拡大の場合】分析するデータと改善ポイント

認知拡大を目的とする場合、いかに多くのユーザーに広告を見てもらうかが重要になります。

認知拡大を目的に広告配信する場合に重視すべきおもな指標は以下

  • インプレッション
  • フリークエンシー(同じ広告が同一ユーザーに表示された頻度)
  • 動画再生回数(動画広告の場合)
  • 動画視聴完了数(動画広告の場合)

など、配信した広告がユーザーの目に止まった数です。

インプレッション数や動画再生回数などを分析することでどれだけのユーザーに広告がリーチしたのか把握できます。

広告媒体によっては、キャンペーンのメニューによってCPM(表示回数 1,000 回あたりに対して入札課金)を選択できますので実際に広告を配信して結果を検証するといいでしょう。

また、フリークエンシーを自由に調整可能な媒体もあります。
広告予算と目標のインプレッション数から逆算して適切にフリークエンシーを調整するのがおすすめです。

フリークエンシーを増やした結果、動画再生回数および動画視聴完了数が増加した等の事例もあります。

改善ポイント

実際に広告を配信して、思うようにインプレッション数、動画再生回数および動画視聴完了数がのびないときは、配信先の設定を広げてみるといいでしょう。

例えば、配信エリアを市区町村レベルにしていてインプレッション数が想定より少ない場合は県レベルに広げてみるなど。

逆に、想定よりもインプレッション数などが出すぎているなどの場合はターゲティング設定を複数掛け合わせてみるといったテクニックもおすすめです。

例えば、年齢×エリア×興味関心のようにターゲティングを絞りに絞って広告を配信するなどもときには有効な手段といえるでしょう。


【サイト誘導の場合】分析するデータと改善ポイント

サイト誘導数はほぼクリック数と同じです。

どのようにして多くのクリック数を獲得できるか、ご説明します。

サイト誘導目的に広告を配信する場合に重視すべきおもな指標はクリック率とクリック単価

クリック数を上げるためには、クリック率とクリック単価を見ると良いでしょう。クリック率を上げることによって、クリック単価が下がる傾向になり、同じ予算でもより効率よくサイト誘導することができます。

広告媒体によっては課金方式をCPMとCPCで選択可能なものもあるため、実際にCPCとCPMでそれぞれ広告を配信してコストパフォーマンスの観点で効果を見比べてみるのも実はおすすめの運用テクニックになります。

改善ポイント

インプレッション数は十分出ているにも関わらず、広告がクリックされずに思うようにサイト誘導できない場合は、

  • 広告媒体
  • 配信セグメント
  • 訴求商材とターゲットとの相性
  • 広告クリエイティブの内容

などを見直してみるといいでしょう。

本質的な考え方としては、商品サービスに完全に興味関心のない人に広告を表示しても広告がクリックされる確率は低いです。

その商品サービスに興味関心がありそうな人に対して、そもそも広告を配信できているかを見直してみると意外と簡単に改善のヒントはみつかるでしょう。


【購入・申込の場合】分析と改善ポイント

広告の配信目的を購入や申し込みといったコンバージョンを重視する場合は、CPA(顧客獲得単価)やCVR(コンバージョン率)の指標が大切になります。

CVRやCPAを改善する手段は多岐にわたりますが、広告運用歴0~1年前後の方にとって取り組みやすい改善ポイントは以下3つです。

広告の要素を細分化して見直す

Web広告の各指標の成り立ちを分解して、どの要素が非効率になっているのかを洗い出すといいでしょう。(イメージとしては中学校で学習した方程式を解くようなイメージです)

広告運用開始まえに目標として定めた各指標の数値を達成するには、どの指標の数値がどう増減すればいいのか。
シミュレーションをエクセル等に関数を用いて作成し、色々なパターンの数値をあてはめて分析すれば改善すべき問題点を浮き彫りにできます。

CPA=広告費÷CV数
CVR=CV数÷クリック数×100
クリック率=クリック数÷インプレッション数
と、各指標の構成要素を分解していきます。

そして、導き出した仮説をもとに、

  • 広告文
  • キーワード
  • 配信エリア
  • デモグラ
  • 配信面

などをひとつひとつPDCAを回しながら改善していくといいでしょう。
後述する書籍に詳しい思考方法が記載されていますので是非ご確認ください。

A/Bテストを行う

広告クリエイティブによるA/Bテストも広告パフォーマンス向上におすすめです。
行動心理学で有名な理論に、「初頭効果」と「アンカリング効果」というものがあります。

簡単に説明すると、最初に見聞きした情報が最終的な判断に大きな影響を与えやすいと言う理論です。

最初に目にする広告の文章をちょっと変更しただけでCVRが数%改善したという事例もあります。

複数の広告クリエイティブを配信したり、広告誘導先のLP(ランディングページ)のファーストインプレッション部分(ページ上部)を色々変えてみたり、広告クリエイティブとLPの組み合わせを変えてみたりとテストしてみるといいでしょう。


Web広告分析に役立つ無料ツール:GoogleAnalytics

広告効果の検証には無料で使えるGoogleAnalyticsがおすすめです。

Google広告とも非常に相性がよく、両ツールを連携することでアドワーズ側で、GoogleAnalyticsのデータが利用できるようになります。

もちろん、両ツールを連携しないで単独で使うことも可能です。

連携しないでGoogleAnalytics単独で使う場合

広告媒体に入稿する広告のURLにGoogleAnalytics専用の計測パラメータを設定します。

設定方法等は以下の記事が参考になるので、知らないかたはご確認ください。

参考:広告の流入数が計測できてない!?そんな時チェックすべきポイント

上記の設定をすることで、GoogleAnalyticsでそれぞれの広告の配信結果の指標を確認できるようになります。

GoogleAnalyticsとアドワーズを自動連携した場合は、アドワーズの管理画面にGoogleAnalyticsでしか計測できない指標(滞在時間など)が自動で追加できたり、GoogleAnalyticsに蓄積している複数のオーディエンスデータをGoogleAnalytics内でリマーケティングリストのような形でリスト作成して、アドワーズにインストールすることでGDNの配信ターゲティングに利用できたりします。

以下自動連携方法詳細です。
Google 広告とアナリティクスをリンク / リンク解除する


Web広告分析に役立つ有料ツール

GoogleAnalytics以外にも有料にはなりますが、色々と有益なツールがあります。

例えば、知名度と広告代理店での使用割合の高さでいえば、

  • アドエビス
  • WebAntenna
  • Ptengine

などが挙げられるでしょう。

以下それぞれ簡単に特徴を紹介します。(2021/09/22時点にて該当企業のHPから確認できる内容にて記載)

AD EBiS /株式会社イルグルム YRGLM Inc

特徴

広告入稿時にAD EBiS専用の計測URLを付与することで、一つの画面で全媒体の広告アトリビューション分析が可能です。

またボタンひとつで高度なデータ計測・分析も簡単に可能です。

メイン機能

  • アトリビューション分析機能。
  • 分析レポートの自動作成。

紹介動画

参考: AD EBiS /株式会社イルグルム YRGLM Inc

WebAntenna/株式会社ビービット

特徴

AD EBiSと似た機能を使えますが、大きな違いといえば、広告クリエイティブの成果を管理画面から確認できる点です。クリエイティブメインで効果検証をしたいかたに特におすすめです。

メイン機能

  • アトリビューション分析機能。
  • 分析レポートの自動作成。

参考:広告効果測定ツールなら「ウェブアンテナ(WebAntenna)」

Ptengine/株式会社Ptmind

特徴

ヒートマップ計測により、広告クリック後にサイトに推移したユーザーのサイト内での行動を可視化できます。

広告クリエイティブのABテストをする際に、クリエイティブごとにユーザー行動がどう変容するのかを分析するのに便利です。

メイン機能

  • ヒートマップによるユーザー行動の可視化
  • 配信レポート作成

紹介動画

参考:Ptengine/株式会社Ptmind

以下のページからも紹介したツールの資料をまとめて無料でダウンロード可能です。
アクセス解析ツール パーフェクトガイド 国内で使える全30種のツールを完全網羅


Web広告の分析に役立つ動画や本

記事で紹介した内容をより一層深く理解するのにおすすめの書籍と動画を紹介します。

ワンランク上の知識を身につけてWeb広告分析力を高めたいかたは是非ご確認ください。

Web広告の学習におすすめGoogle公式動画

膨大にあるGoogle公式動画の中から、広告分析をする際の考え方の助けになるものを厳選しましたので是非ご視聴ください。

Google 広告トレーニング : ビジネスゴールを戦略的に捉える
Google 広告トレーニング : Google 広告アカウントの構築
Google 広告トレーニング : 測定とアトリビューション
Google 広告トレーニング : ディスプレイ広告導入編

Web広告の学習におすすめの書籍

ネット広告運用“打ち手”大全 成果にこだわるマーケ&販促 最強の戦略102 できるMarketing Bibleシリーズ Kindle版
出版社 ‏ : ‎ インプレス (2018/4/13)

Google広告とFacebook広告をメインに、基本的なことからより実践でつかえる知識まで広く深く学べる良書です。これ一冊読み込んで活用できるように成る頃にはWeb広告運用上級者の仲間入りをしているかもしれません。

運用型広告 プロの思考回路 AdWords/Yahoo!/Facebook広告の効果を最大化するベストプラクティス (WEB PROFESSIONAL)
出版社 ‏ : ‎ KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2016/3/29)
この本は、管理画面の設定とうの表層的なことより、より本質的なWeb広告の運用の考え方(思考方法)を学べる良書です。

Web広告運用のプロとよばれるひとたちはいかに考え、分析し、改善して結果を出しているのかといった、広告運用担当者なら知っておかなければならない知識を学ぶことができます。


どうしても自力で上手く広告運用できないなら広告代理店を利用する

Web広告の運用には様々な知識を柔軟に活用する能力がどうしても必要になってきます。

色々と情報収集をして、専門書を読んだり、You Tube動画やセミナーに参加したけど、それでも上手く広告運用ができないと悩んでいる人は実は意外と多いのです。

そういった場合は、無理して独力で頑張るよりも、素直に広告運用のプロに任せるという選択肢も検討するといいでしょう。

とはいえ、Web広告代理店では運用金額の15%前後を運用手数料としている会社が多いです。大切な広告費を任せるのに十分な実績があるのかなど、代理店を選ぶ際には慎重に検討することをおすすめします。


まとめ

本記事では広告運用の基礎的な分析ノウハウと考え方を中心にご紹介しました。記事を通して身につけていただいた知識をきっかけに、積極的にPDCAを回してWeb広告の運用パフォーマンスを向上していただければ幸いです。

また、以下では本記事に関連したおすすめの記事を紹介いたします。是非目を通していただければより知識が深まることうけあいです。

参考:広告効果測定3つの基本と、状況別でおさえるべき測定ツールの選び方
   成功事例に学ぶWeb広告を活用した店舗集客の方法、コツ、注意点
   Web広告の効果を最大化するために、最初に準備しておくべき3つのこと
   マーケティング担当必見!広告の効果とそれぞれの効果測定法をまとめて解説

Web広告の分析に欠かせない広告レポートの作成自動化ツール『ATOM』


参考URL

Web広告の効果を測る主な指標と測定方法、データ分析の手法を解説|TOSHO DIGITAL
Web広告の効果が上がる15の分析チェックリストと使える測定ツールをご紹介|オクゴエ!“イケてる年商1億円”突破の方程式
WEB広告の効果を検証する指標の定め方・分析方法を徹底解説!オススメ効果検証ツールも紹介|Databeat
Web広告効果測定で必ず押さえておきたい11個のこと|ferret
Web広告の効果測定と担当者が押さえるべき成果指標|List Finder
広告効果測定・分析|マーケティングPartners
広告効果測定|KAN
#3 WEB広告に関するデータ分析のステップと、今後のデータ活用を考える|アドテクノロジーとWEB広告|C-Station
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